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ヨーロッパの主要報道機関を代表する業界団体「欧州出版社協議会(EPC: European Publishers Council)」は、米Metaが導入を進める改定商業利用規約(Commercial Terms)およびセルフサービス広告規約(Self-Serve Ad Terms)に関し、欧州委員会に対して2度目となる書簡を送付した。Metaは批判を受けて施行日を2026年11月20日へ延期し規約から「train(学習)」の単語を削除したものの、EPCは「実質的な内容は何も変わっていない」と反論。DMA(EUのデジタル市場法。巨大プラットフォーマーの市場支配力乱用を防ぐ規制)(デジタル市場法)およびEU競争法に基づく厳格な審査と、施行期日前の暫定措置(施行停止)を求めた。
Metaは外部からの強い反発を受け、Webスクレイピング条項から「train」という語句を取り除き、収集目的を「広告およびビジネス製品の提供・開発・維持、ならびに製品の完全性と安全性の確保」に限定したと説明している。
しかしEPCは、この修正が法的にも実務的にも本質的な解決になっていないと厳しく指摘する。
robots.txt による制御を案内しているが、EPCは「技術的制御は、契約上の明確で強制力のある利用制限の代替にはならない」と反論。どのクローラーが誰のために何の目的で巡回しているかの開示も不十分であると批判した。EPCが特に重大視しているのは、プラットフォームのゲートキーパーとしての優越的地位を背景とした契約構造である。
ビジネスユーザーがFacebookやInstagramで公式ページを運営したり広告を出稿したりする場合、自社のWebサイト全体への包括的なアクセス権をMetaに付与せざるを得ないAll-or-Nothing(一部の条項だけを拒否できず、契約全体を受け入れるか利用をやめるかの二者択一を迫る構造)(包括的受託か完全撤退か)の二者択一を迫られている。規約の追加権諾を拒否しながらMetaのビジネスサービスを使い続ける契約上のオプトアウト手段は提供されていない。
さらに契約条項では、AI機能の利用に伴う法的責任や損害賠償義務を事業者に重く課す一方、Meta側の責任は大幅に限定されており、リスク分担が著しく不均衡であるとEPCは主張している。
EPCは欧州委員会に対し、DMA第6条12項(指定サービスへのアクセスを公正・合理的・非差別的な条件で行う義務)に基づき、Metaが不公正な条件を課していないか緊急精査するよう求めている。もし11月20日までに暫定措置を発令できない場合は、調査完了まで当該条項の適用を凍結する誓約(undertaking)をMetaから取り付けるよう要求した。一度データが収集されAIモデルや競合サービスへ組み込まれてしまえば、事後的に制御を回復することは極めて困難になるためである。
この対立は、Metaのプラットフォーム上で広告やマーケティングを展開する日本のメディア企業やEC事業者にとっても決して対岸の火事ではない。自社サイトの記事や独自データを無償でAI要約・生成システムに転用されるリスクを防ぐためにも、EUにおける独禁法審査の行方とMeta規約の最終文言を注視する必要がある。