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米Metaは、批判を集めていた商業利用規約(Commercial Terms)およびセルフサービス広告規約(Self-Serve Ad Terms)の改定施行日を、当初予定していた2026年10月30日から11月20日へと約3週間延期した。同社がビジネスアカウントに関連付けられたWebサイトのコンテンツをAI学習に利用できる権利を盛り込もうとしたことに対し、メディア企業やパブリッシャーから激しい反発が起き、独占禁止当局への申立にまで発展したことを受けた措置である。

Metaの広報担当者がロイター通信(Reuters)やFast Companyに送付した電子メールによると、同社はパートナーやステークホルダーに対し「何が変わり何が変わらないのかを説明する時間を確保するため」施行日を2026年11月20日まで延長したとしている。
問題の発端となったのは、Metaがプラットフォーム上のビジネスアカウントに関連するドメイン、Webページ、URLのコンテンツをウェブスクレイパーや自動化ツールで収集・分析・キャッシュし、自社の製品やサービスの提供・開発・改善・研究・「学習(train)」に利用できる権利を規約に明記しようとした点にある。
この改定案に対し、米国およびカナダの数千に及ぶ報道機関を代表する業界団体「News Media Alliance」が強く反発した。同団体はMetaに対して公開書簡を送り、「報道機関は自らの価値あるジャーナリズムを、対価もなく強要される形で提供させられ、最終的には読者や広告主を奪い合う競合製品の開発を支援させられることになる」と厳しく非難し、10月30日までに規約改定を撤回するよう求めていた。また、影響を受ける事業者の一部は反トラスト(独占禁止法)当局へ異議申立を行っている。
反発を受けたMetaは、規約改定案の文言から明示的な「train(学習)」という単語を削除する修正を行った。さらに同社は、自社のWebクローラーの仕組みをパートナーに説明するとともに、コンテンツ所有者が robots.txt(検索エンジンやAIクローラーの巡回を拒否・制御するためのテキストファイル)を設定することでインデックスを拒絶できる方針を明示するとしている。
しかし、この対応に対しても懸念の声は根強い。クローラーによるサイト収集自体を規約上包括的に許諾させる構造が維持されている点や、一部のAI企業が robots.txt の指定を無視してスクレイピングを強行している実態が報じられていることから、技術的・規約的な保護が十分に機能するか疑問視されている。
Metaの規約改定は、InstagramやFacebookページを運用する日本の企業・EC事業者・メディアにとっても無関係ではない。自社のアカウントに登録したコーポレートサイトやオウンドメディアのURLが、プラットフォームの商業規約を通じて自動巡回・データ収集の対象となる可能性があるためである。11月20日の施行に向けて、自社サイトにおける robots.txt の記述やMeta製クローラーのブロック設定、ならびに公開規約の最終文言を再確認することが推奨される。
生成AIの基盤モデル開発において高品質なテキスト・Webデータの枯渇が指摘される中、巨大テック企業は自社プラットフォームの利用規約を通じて学習データを確保しようとする動きを強めている。今回の施行延期は、報道機関やパブリッシャーが団結して対価なきデータ搾取に歯止めをかけようとした一定の成果といえるが、Meta側がデータ収集権限を完全に放棄したわけではない。11月20日の改定施行に向けて、公正な利用条件と対価を巡る法規・ガイドラインの議論が一段と激化するとみられる。
引用元:Engadget