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米GitHub(世界最大のソフトウェア開発プラットフォーム)は10月21日、AIエージェントの爆発的な普及に伴うGitトラフィック急増を支える次世代ストレージアーキテクチャの最新設計を公式エンジニアリングブログで発表した。すでに全リポジトリの99.99999%をAzureクラウド環境へと移行完了しており、残る極めて高負荷な0.00001%のリポジトリを移行させるための「参照(ブランチ・タグ)単位のクォーラム制御」と、ストレージとコンピュートを分離するエフェメラルな「仮想レプリカ(Virtual Replicas)」の導入を明らかにした。
GitHubにおけるGit操作は、サービス全体の根幹を成す「Tier 0」サービスである。データセンターの電力容量や物理サプライチェーンの制約に直面する中、GitHubは2025年8月からAzure(米国中部リージョン)へのデータ移行を進め、現在ではGitトラフィックの約半分をAzureが処理している。
しかし、トラフィックが極めて集中する最上位0.00001%のリポジトリは、自社データセンターとAzure間の約25ミリ秒のネットワーク往復レイテンシが原因で移行が難航していた。従来の分散ストレージシステム「Spokes」では、書き込みコミット時にリポジトリ全体にロックをかけ、すべての正常なレプリカの応答を待つ方式を採っていたため、遅いレプリカの応答時間によって書き込みスループットの上限が制約されていた。
これを解決するため、GitHubはクォーラムのシリアライズ範囲を「リポジトリ全体」から「個別の参照(Reference:ブランチやタグ)」単位へと変更した。Gitの整合性要件は個別の参照ごとに保証されればよく、異なるブランチへの書き込みは互いに依存しない。
| 比較項目 | 従来のSpokesアーキテクチャ | 刷新された参照単位クォーラム |
|---|---|---|
| シリアライズ単位 | リポジトリ全体(単一キュー) | 個別の参照(ブランチ・タグ)単位 |
| ロック競合 | 異なるブランチへのPushでも直列化待ち | 異なるブランチへのPushは完全並行処理 |
| リージョン間遅延の影響 | 1回のPush遅延が後続すべての書き込みを阻害 | 参照が異なれば同時書き込みが進行可能 |
| 社内検証性能 | スループット上限に頭打ち | 書き込みスループットが3〜4倍に向上 |
AIエージェントと人間開発者がそれぞれ独自の作業ブランチにプッシュする現代の開発フローでは、異なる参照への書き込みが主流となる。社内テストでは、低遅延を維持したまま書き込みスループットが3〜4倍向上することが実証された。
GitHub上のアクセスは読み取りが圧倒的に多く、書き込み1回に対して100回から1,000回の読み取りが発生する。従来は同じレプリカノードが読み書き双方を処理していたため、リソース競合が発生していた。
GitHubはストレージとコンピュートを分離する方針を打ち出し、永続ストレージ基盤として「Azure Blob Storage」を採用した。その第一歩として、永続状態を持たない完全エフェメラルな「仮想レプリカ(Virtual Replica)」をクォーラムのメンバーとして導入した。
従来の負荷テストではストレージノード側の天井に達していたのに対し、仮想レプリカ環境ではテスト負荷生成ツール側が先に限界を迎えるほどの読み取りスケーラビリティを達成したという。
GitHubの今回のアーキテクチャ進化は、AIコーディングエージェントが日常的に数十〜数百のブランチを作成し、高頻度でコミットやプルリクエストを発行する「エージェントスケール」の時代を見据えた必然的な対応である。人間の開発者の操作頻度を前提に作られた従来のバージョン管理インフラでは、エージェントが常時稼働する開発環境を支え切れない。
来週開催される年次カンファレンス「GitHub Universe」において、書き込みスループットをさらに引き上げる最終アーキテクチャの詳細が公開される予定である。10億件以上のリポジトリを安定稼働させながら、止めることなく基盤をクラウドネイティブかつエフェメラルな設計へと置き換えるGitHubの取り組みは、大規模インフラ運用における重要なマイルストーンとなる。
引用元:The GitHub Blog