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米紙The Wall Street Journal(WSJ)およびReutersの報道により、米Anthropic(米AI開発企業)が作成した新規株式公開(IPO(企業の未公開株式を市場に新規公開すること))目論見書草案の内容が流出し、その財務実態が明らかになった。2026年上半期の売上高は163億ドル(約2兆5000億円)と前年同期の11億ドルから10倍以上急増した一方、純損失は800億ドル(約12兆円)を超える巨額の赤字を計上したことが判明した。さらに今後数年間でコンピューティング能力の増強に最大7500億ドル(約118兆円)を投じる計画も示されている。

報じられたIPO草案の一部によると、純損失が前年同期の130億ドルから800億ドル超へと急拡大した主な要因は、過去の資金調達契約に関連する会計上の調整によるものとされている。事業上の現金支出だけでなく、評価損や資本取引に伴う会計処理が赤字幅を押し上げた形だ。
売上高に関しては、2026年上半期に163億ドルに達し驚異的な成長を遂げている。しかし収益構造には偏りがあり、売上高全体の約5分の1(20%)がわずか2社の顧客からもたらされていることが草案で明記された。同資料では「当面の間、収益のかなりの部分が限られた数の顧客から得られる」との見通しが示されている。
計算資源への支出も急速に拡大している。2026年上半期にAnthropicがコンピューティング能力およびインフラに費やした額は約90億ドルで、前年同期の23億ドルから約4倍に増加した。今後7〜10年間にわたるクラウドコンピューティング契約の支払予定額は約4500億ドル(約71兆円)に上り、将来的なインフラ関連費用は最大で7500億ドル規模に達する可能性があると記されている。
草案では事業上の重大なリスク要因として、データセンター建設に対する政治的・地域的な反対運動の高まりが挙げられている。データセンター建設に対する抵抗が「複数の管轄区域間でより組織的かつ調整された状態になっている」と警告しており、電力消費や環境負荷に対する監視の目がインフラ拡張の障壁になりつつある現実を浮き彫りにした。
現在Anthropicは、Amazon Web Services(AWS)、Google、Microsoftといった大手クラウド事業者と契約を結んでいるが、これらパートナー各社の供給能力を超えるリソースを求めて独自の確保策を模索しているとされる。
ロイターは、AnthropicのIPOに対する株式市場の評価が、AI業界全体の投資心理を大きく左右する試金石になると指摘している。競合のOpenAIを含め、各社が天文学的な計算資源投資を前提とした成長モデルを描く中、公開市場の投資家がこの巨額支出と赤字構造をどう受け止めるかが注視される。
今回の草案流出で明らかになったのは、最先端基盤モデル開発の持続可能性を巡る極端な二面性である。半年で163億ドルという売上規模は、エンタープライズ領域におけるAI需要が本物であることを証明している。しかし、それを支えるために今後最大7500億ドルという一国の国家予算並みのインフラ支出が不可欠となる構造は、極めて高い財務リスクをはらむ。
特に売上の2割を上位2社に依存する集中リスクと、電力・立地を巡る地域社会との摩擦は、今後の上場審査や機関投資家への説明において厳しく問われることになる。Anthropicの株式公開が成功裏に進むかどうかは、単に一企業の成否にとどまらず、シリコンバレー主導のAI設備投資ブーム全体の持続可能性を判定する分水嶺となる見通しである。
引用元:GIGAZINE