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カナダ・トロントに拠点を置くエンタープライズAI大手のCohereは2026年10月15日、チェコ・プラハに本社を置くAIサイバーセキュリティ企業Aisle(アイル)を買収するための基本合意書(LOI)に署名したと発表した。あわせて新部門「Cohere Cyber」を立ち上げ、法人や政府機関向けのセキュリティ防御と主権型AI基盤を大幅に強化する。
合意に基づき、Aisleのプラハ本社はCohereのプラハオフィスへと移行し、約50名のフルタイム従業員全員がCohereに合流する。
人事体制も強化され、アンチウイルス大手Avastの元CEOであるAisleのOndřej Vlček氏がCohere Cyber担当の上級副社長(SVP)に就任する。また、共同創業者のJaya Baloo氏がCohereのグローバル最高情報セキュリティ責任者(CISO)に、AnthropicやDeepMindでの勤務歴を持つ共同創業者兼CTOのStanislav Fort氏がAIセキュリティ担当副社長(VP)に就く。
Aisleは設立から約1年のスタートアップで、基幹ソフトウェアの脆弱性をAIで自動検知・修正する技術を開発している。同社は直近でも、APIデータ転送ツールとして広く普及している「curl」の最新リリースにおいて、修正された24件の脆弱性のうち18件をAisleのAIシステムが特定したと発表し、注目を集めていた(同社によると、OpenAIやAnthropicのモデルでは検出されなかったという)。
近年、AIモデルや自律型エージェントが悪用され、OpenAIモデルによるHugging Faceへの攻撃試行や、カナダ国立図書館・文書館を標的としたエージェント型ハッキングの試みなどが相次いで報告されている。サイバー攻撃側のAI利用が高度化する中、防御側にも特化したAI基盤が急務となっている。
Cohereの共同創業者Ivan Zhang氏は、システム保護のために機密情報やテレメトリを外部プロバイダーに渡さざるを得ない企業のジレンマを指摘し、重要システムを完全に信頼して保護できる「真に主権的なプラットフォーム(ソブリンAI)」を提供する姿勢を強調している。CohereはドイツのAleph Alphaの買収(規制当局の承認待ち)やReliant AIの買収など、欧州での高度人材と拠点獲得を急速に進めており、米国大手への過度な依存を避けたい日本企業や政府機関にとっても、機密保護に特化した選択肢として注目される。
これまでの生成AI競争はモデルの規模や推論性能が中心だったが、企業の基幹業務や機密データへの統合が進むにつれ、防御力・データ主権・監査性がプラットフォーム選定の最重要要件となりつつある。
元Avast幹部や大手AIラボ出身のセキュリティ専門家を組織に取り込み、専用部門として独立させたCohereの戦略は、セキュリティを単なる周辺機能ではなく自社の中核競争力として位置づける明確な意思表示と言える。

BetaKit
Cohere to acquire Czech AI cybersecurity firm Aisle, set up new cyber division
The deal will see Cohere deepen its European presence with an office in Prague.
https://betakit.com/cohere-to-acquire-czech-ai-cybersecurity-firm-aisle-set-up-new-cyber-division
AISLE
AISLE and Cohere to Join Forces
AISLE is joining Cohere to unite autonomous security systems and sovereign foundation models. Learn about the future of both companies.
https://aisle.com/blog/aisle-and-cohere-to-join-forces