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アンビエント知能の開発を手がける米スタートアップのMistlabsは、ユーザーの明示的な指示を待たずに自律してタスクを実行するAIシステム「Ambi」のベータテストを終了し、Apple(MacやiPhoneなどのハードウェアおよび基本ソフトを提供する世界的IT企業)製品(MacおよびiOS 18(Appleが提供するモバイル向け最新オペレーティングシステム)対応端末)向けに正式公開しました。同時に、同システム専用のウェアラブルデバイス開発に向けた2,600万ドルのPre-Aラウンド資金調達も完了したことを明らかにしました。
MistlabsのCEOであるPeter Mo氏によると、従来のAIアシスタントの多くはプロンプトによる指示を受けてからタスクを実行する「受動型」であるのに対し、Ambiはソフトウェアが「リアルタイムで状況を理解・推論し、自発的に行動する」ことを目指して構築されています。状況によってはユーザーが依頼を思いつく前に先回りして処理を開始します。
Ambiは、ユーザーが日常で使用するiPhone、Apple Watch、Macを通じて交わされる会話や作業内容から行動文脈や好みの作業手順を継続的に学習します。学習されたコンテキストは単一のデバイスに固定されず、Macからスマートフォンや腕時計へと端末を移動してもシームレスに引き継がれます。
ユーザーが「Routine(ルーティン)」を設定すると、複数のAIエージェント(自律的に目標を認識しツールの呼び出しや外部操作を行うAIプログラム)が連携して反復的な業務を担当します。
例えば、競合他社に関する会議に出席している最中、エージェント群は発言内容をリアルタイムでファクトチェックし、議論が終わる前にMacBook上で競合製品の比較表や提案書のドラフトを作成します。会議終了後もエージェントは稼働を続け、不足している情報の指摘や進捗のモニタリングを行います。さらに数か月以内には、会議参加者双方のエージェント同士が自律的に交渉し、各ユーザーの優先事項をすり合わせる機能も提供される予定です。
今回調達した2,600万ドルは、Ambiにより深い環境文脈を把握させるための独自ウェアラブルデバイスの開発に充当されます。出資はLuminous Venturesと、スマート端末の受託設計・製造を手がける中国・上海のHuaqin Technology(華勤技術)が主導しました。ハードウェアの投入により、既存のスマートフォンやPCを超えた新しいフォームファクタへの展開を狙います。
| 項目 | 詳細情報 |
|---|---|
| 提供プラットフォーム | Mac、およびiOS 18をサポートするAppleデバイス |
| プライバシー保護方針 | 音声データの保存(Audio Storage)は初期状態でオフ設定 |
| 独自ウェアラブル | 2026年後半に投入予定、現在はウェイトリスト受付中 |
| 調達額・主導投資家 | 2,600万ドル(Pre-Aラウンド)/Luminous Ventures、Huaqin Technology |
Ambiは現在Apple端末向けに提供されていますが、日本国内のApp Storeにおける配信状況や日本語音声・ローカライズ対応の精度については詳細が公表されていません。また、独自ウェアラブル端末の具体的な形状・センサー構成・発売価格および日本での技適認証等の計画は未確定となっています。
常時リスニング型のアンビエントAIはプライバシー面での懸念が生じやすい分野ですが、Mistlabsは音声ストレージを初期状態でオフにし、エージェントの行動権限をユーザーが制御できる仕様を採用することで安全性の担保を図っています。
チャットボット形式の対話型AIから、環境に溶け込みバックグラウンドで先回り支援を行う「アンビエント・エージェント」への進化は、生成AIの次なる主戦場と位置づけられています。HumaneやRabbitなど先行したハードウェア主導スタートアップが苦戦を強いられた中、ソフトウェア基盤をAppleエコシステム上で先行実用化し、製造大手のHuaqinと組んで専用ハードウェアへ進出するMistlabsのアプローチが自律型AIの普及モデルとなるか注目されます。
引用元:SiliconANGLE