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フランス・パリを拠点とするバイオAIスタートアップRivercellは、ヒト細胞が医薬品や遺伝子改変に対してどのように応答するかを予測する「AI仮想細胞(細胞のワールドモデル)」の開発に向け、2,500万ドル(約37億円)のシード資金を調達した。VCファンドのHVが本ラウンドを主導し、HCVC、Alven、Bpifrance Digital Ventureが参加した。調達資金は、パリ市内のウェットラボ(実験施設)拡張と独自データ取得プラットフォーム「AI Virtual Cell」の構築に充当される。
Rivercellは、フィリップスに買収された心臓病AI診断企業Cardiologsの共同創業者兼CEOを務めたYann Fleureau氏が2025年夏に創業した。2026年には、ノバルティスで7年間オンコロジーデータサイエンスを率い、仏Bioptimusの共同創業者でもあるEric Durand氏が共同創業者兼最高科学責任者(CSO)として参画している。
同社が取り組む「細胞のワールドモデル」は、薬物投与後の細胞の経時的な変化をまるごとコンピュータ上で再現するAIシミュレーションシステムである。Fleureau CEOは「細胞のワールドモデルは医療における今世紀最大の好機だが、欠けているのはデータである」と指摘する。
細胞レベルの基盤モデル開発およびAI創薬分野では、大型の資金調達が相次いでおり、各社のアプローチの違いは以下の通りである。
| 企業名 | 拠点 | 直近の調達規模 | 主な取り組みとアプローチ |
|---|---|---|---|
| Rivercell | フランス(パリ) | 2,500万ドル(シード) | 自社開発機器による生細胞動態計測+AI仮想細胞シミュレーション |
| Relation | 英国(ロンドン) | 非公表(GSK提携) | GSKと共同でヒト細胞の基盤モデルを開発 |
| Chai Discovery | 米国 | 4億ドル(シリーズC、2026年7月) | 生体分子相互作用およびAI創薬パイプラインの構築 |
| Anew Labs | 中国/米国(ByteDance系) | 2億9,000万ドル(2026年9月) | 大規模計算資源を活用したバイオ基盤モデルの開発 |
Rivercellは今回のシードラウンドにおける評価額を公表しておらず、初期モデルの実用化・提供開始の具体的なスケジュールについても明かしていない。自社ラボでのデータ生成スピードが今後のモデル性能を左右する鍵となる。
製薬業界において、前臨床段階の細胞実験や動物実験で良好な結果を示した候補物質が、後の臨床試験で有効性不足や予期せぬ毒性によって脱落する割合は極めて高い。
細胞全体を動的に再現するワールドモデルが実用化されれば、候補化合物の作用機序や副作用リスクをコンピュータ上で事前に網羅的に検証可能となる。新薬開発にかかる莫大なコストと期間を圧縮する基盤技術として、欧州を中心とするバイオテックエコシステムでの存在感向上が期待される。