米OpenAIが、アラブ首長国連邦(UAE)の政府系投資ファンドや世界最大級の資産運用会社米BlackRock(世界最大規模の資産運用会社ブラックロック)などと、最大300億ドル(約4.5兆円規模)の資金調達ラウンドに向けて協議を進めていることが複数の関係者の話として明らかになりました。英Bloomberg Newsなどの報道によると、OpenAI側が提示している企業評価額(投資前評価額/Pre-money valuation)は約1.4兆ドルに達します。AI安全性への注力を理由に新規株式公開(IPO)の時期を少なくとも来年以降へ延期する中、巨額の計算資源開発を支える資本調達を急いでいます。
UAEファンド連合と既存投資家の参画動向
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引用元:Business Standard / Reuters
報道によると、本資金調達ラウンドの主要な構成と出資候補は以下のとおりです。
- UAEファンド連合の出資規模:アブダビを拠点とするAI特化型投資ファンド「MGX」をはじめとするUAEの複数ファンドがシンジケート(投資組合)を組み、全体で最大100億ドル規模の出資を協議しています。MGXは2026年初頭にAIインフラ向けに約500億ドルの資金を調達しており、OpenAIやAnthropicへの過去ラウンドにも参加実績があります。
- BlackRockの参加検討:世界的な資産運用大手であるBlackRockが、UAEファンド連合のシンジケートと並行してラウンドへの参加を検討しています。
- 既存出資者との協議:カリフォルニア大学基金(University of California endowment fund)、Thrive Capital、Andreessen Horowitz(a16z)などの既存株主とも出資継続に関する協議が行われています。
OpenAIは直近の2026年3月にも、評価額8,520億ドル(資金投入後)で1,220億ドルを調達したとされています。今回のラウンドが成立すれば、評価額は半年余りで約1.6倍に膨らむ計算となります。
リード不在での固定評価額提示と未確定リスク
今回の資金調達プロセスには、通常のベンチャーキャピタルによる出資交渉とは異なる特徴と不確実性が指摘されています。
- リード投資家不在での価格提示:通常の大規模ラウンドでは、リード投資家が投資条件(タームシート)を提示して企業側と評価額を交渉します。しかし今回の協議では、リード投資家が確定する前に、OpenAI側から「1.4兆ドル」という固定評価額が投資家側に提示されていると報じられています。
- 協議継続中の未確定リスク:OpenAIおよびBlackRockは公式コメントを拒否しており、MGX、Thrive Capital、Andreessen Horowitz、カリフォルニア大学基金も回答していません。資金調達交渉は現在も進行中であり、出資額や評価額、参加ファンドなどの詳細条件は変動する可能性があります。
- 巨額資金調達の使途:次世代フロンティアモデルの学習に必要な計算基盤インフラやデータセンター投資の急増に対応するための調達とみられますが、具体的な配分計画は公表されていません。
分析・展望:国家規模インフラ資本への依存とAI地政学
AIフロンティアモデルの開発競争は、民間ベンチャーキャピタルの資金供給能力を完全に超え、中東の国家主権ファンド(Sovereign Wealth Funds)や巨大機関投資家のインフラ投資枠組みへとシフトしています。
評価額1.4兆ドルという規模は、上場ハイテク大手にも匹敵する水準です。OpenAIがIPOを急がず非上場のまま巨額調達を重ねる背景には、公開市場での四半期決算プレッシャーを避けつつ、中東資本を巻き込んだ大規模データセンター建設競争を継続する狙いがあるとみられます。一方で、UAE資本への依存度が高まることに対する米欧規制当局の安全保障上の監視強化も予想されます。
引用元:Business Standard