AI関連の最新ニュースをピックアップ
オープンソース推進団体の米Mozilla(オープンウェブの推進やFirefoxを手がける非営利団体・企業)とカナダの世界的人工知能研究拠点「Mila(ヨシュア・ベンジオ氏らが率いるカナダ・モントリオールの著名AI研究所)」は、カナダ政府の支援のもと、企業や公共機関が高度なAIシステムをローカル環境で自律運用できるようにする「オープンソースAI基盤レイヤー」構築イニシアチブを発表しました。
カナダ最大のAI・技術イベント「ALL IN」で公表された本プロジェクトには、Mozillaが初期投資として500万ドルを拠出するほか、カナダのインフラ企業Hypertecが初年度の導入加速資金として100万ドルをコミットしました。カナダ政府のエヴァン・ソロモンAI・デジタルイノベーション担当大臣も政府としての全面支持を表明しています。
Milaが約2,000名の研究者コミュニティを活かして技術開発と調整を主導し、Mozillaが25年にわたるオープンインフラ運用の知見を提供します。両者は過去6か月にわたりアーキテクチャ設計を進めており、今後6か月以内に企業・政府・公益機関向けの動作参照実装(リファレンス実装)を公開する計画です。
イニシアチブは以下の2要素から構成されます。
Mozillaが公開した「オープンソースAI現状調査レポート」によると、AI機能を開発するエンジニアの79%がオープンモデルを採用しているものの、コスト、セキュリティ、インフラ統合、運用の困難さが障壁となり、本番稼働に到達できるチームはわずか53%にとどまっています。
| 比較軸 | 商用クラウドAIサービス (プロプライエタリ) | 本イニシアチブが目指すオープンAI基盤 |
|---|---|---|
| データ主権 | 外部ベンダーのサーバーへ社内データを送信 | 自社サーバーや指定ハードウェア内で完結し流出を防止 |
| コスト構造 | 従業員の利用リクエストごとに従量課金が発生 | オープンツールによるローカル稼働で運用維持費を抑制 |
| 導入難易度 | API接続のみで容易 | 従来は自前構築に高度な専門知識が必要だったが、パッケージ化で解消 |
| 柔軟性 | ベンダーの仕様変更や廃止に依存 | 部品ごとに自由なモデルやツールへの差し替えが可能 |
初期のハードウェア検証環境としてHypertec製システムが挙げられていますが、市販の汎用GPUサーバーや他社クラウド環境でどの程度のハードウェア要件が求められるかについての詳細スペックは公表されていません。
編集部注: 「AIを自前で所有することを、クラウドから借りるのと同じくらい容易にする」という本試みは、特定メガクラウドへのベンダーロックインや、機密データを外部に預けられない病院・官公庁・中小企業にとって極めて大きな意義を持ちます。かつてウェブの基盤技術がオープンスタンダードによって発展したのと同様に、AIスタックの中核に交換可能なオープンレイヤーを確立できるかどうかが、今後のAI民主化の行方を占う試金石となります。
引用元:The Mozilla Blog