AI関連の最新ニュースをピックアップ
九州国立博物館は2026年9月17日、開催予定の特別展「卑弥呼の鏡」の広報用ポスターおよびチラシのイラスト制作において、一部に画像生成AI(指示文からイラストや写真を自動生成するAI技術)を使用していたことが判明したと発表した。同館は当初、メディアからの取材に対して「生成AIは使用していない」と回答していた経緯があり、事実と異なる説明を行っていたことについて深く謝罪する声明を出した。ITmedia AI+などが報じた。
問題となったのは、特別展「卑弥呼の鏡」のメインビジュアルに使用されたイラストである。九州国立博物館は2026年7月、山陽新聞の取材に対して当該イラストの採用理由を「人目を惹きやすく目立つ」「これまでの博物館のポスターとは一線を画し、興味を持たれやすい」と説明していた。
その際、制作者の表記について「デザイナー・イラストレーターの希望により名前の公表は控えている」とした上で、「生成AIの利用はしておらず、すべてイラストレーターによる作図である」と明確に否定していた。
しかしその後、外部からの指摘や内部調査を経て一部に生成AIが用いられていたことが発覚。9月17日付で公式Webサイトおよび公式Xアカウントにお詫び文を掲載し、「誤った情報をお伝えした関係者の皆様に、深くお詫び申し上げます」と陳謝した。
公的機関や自治体、企業の告知物において、生成AIを活用したクリエイティブを巡る議論は国内外で活発化しているが、本件は「利用の有無に関する虚偽・誤認説明」というガバナンス上の重大な教訓を提示している。
外部の発注先クリエイターが制作工程の一部で生成AIを利用していた場合、発注元がその実態を正確に把握できていなければ、広報段階で誤った対外発表を行ってしまうリスクがある。契約時点でのAI利用に関する事前申告義務や、納品物の権利クリアランス・手法確認プロセスの標準化が日本のクリエイティブ業界全体で急務となっている。
なお、現時点ではイラスト内の具体的にどのパーツに生成AIが使われていたのか、またどのような指示(プロンプト)や追加修正が行われたのかといった詳細な制作プロセスの内実は公表されていない。
生成AIの普及に伴い、デザインワークフローにおけるAIツールの利用そのものは一般的な効率化手法として定着しつつある。本件で批判が集中した本質は「AIを使用したこと」ではなく、「使用していないと偽って公表した不透明さ」にある。
歴史や文化財を扱う国立博物館という公的機関の性質上、展示物だけでなくその広報活動に対しても高い正確性と倫理性が求められる。今後は文化施設や自治体を中心に、広報制作物におけるAI利用ガイドラインの制定と、利用事実の適切な明示(クレジット表記)が標準的な対応として定着していくとみられる。
引用元:ITmedia AI+