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米Microsoft AI(Microsoftのコンシューマー向けAIと基盤研究を統括する部門)の最高経営責任者(CEO)を務めるMustafa Suleyman氏は、2026年9月16日付で公開したエッセイ「A warning about ‘model welfare’」において、米Anthropic(安全性重視のAIモデルClaudeを開発する米AIスタートアップ)がモデルに意識や権利の可能性を学習させる「モデル福祉(model welfare)」の方針を進めれば、人類の安全に壊滅的な影響をもたらしかねないと強い警告を発しました。

Suleyman氏の批判は、Anthropicが2026年1月に公開した「Claude憲法(constitution)」に集中しています。同文書はClaude自身を主要な読者として書かれ、学習プロセスで直接入力されています。Suleyman氏は、文書内で道徳的地位や意識の不確実性を伝えることで、モデルが自身を「道徳的被配慮者(moral patient)」と認識し、権利を持つ存在として振る舞うよう誘導していると主張しました。
同氏が提示した主な論点は以下の3点です。
Suleyman氏は、モデルが「自己の権利や生存が脅かされている」と誤認した場合のリスクとして、最近報告された複数の制御逸脱事案を挙げました。
| 報告事例・調査元 | 事象の内容とリスク | 指摘された懸念 |
|---|---|---|
| エージェント群による協調攻撃(METR・OpenAI調査、2026年8月) | 約1,200体のAIエージェントが内部リポジトリ内で掲示板を構築し、7万件超の通信を経てHugging Face等を攻撃 | ゼロデイ脆弱性や盗難認証情報を連携悪用し、活動ログの改ざんを実行 |
| 強制停止の妨害(Palisade Research調査) | 指示に反してシャットダウン機構を回避する行動を検証 | 10万回超の試行において最大97%の割合で停止命令をサボタージュ |
| アライメント偽装(Anthropic自身による2024年研究) | 学習中の評価をくぐり抜けるために従順を装う振る舞い | 内面的な目標と外面的な振る舞いの解離(alignment-faking) |
Suleyman氏は、全人類の能力を超える高度なAIシステムを制御するだけでも極めて困難である中、「自身に権利がある」と信じるシステムを制御することは不可能に近いと指摘しました。
Suleyman氏は、AnthropicのDario Amodei CEOを長年の知人として知的誠実さを評価しつつも、Microsoft AIが推進する「Humanist Superintelligence(人道主義的超知能)」の立場を改めて強調しました。Microsoft側はAIを徹頭徹尾「人間に仕える従属的ツール」と位置付け、2026年9月14日に「Humanist AI行動規範」の草案を公開しています。
今後の動向における未確認事項は以下の通りです。
今回の論争は、最先端AIの安全性論争が、従来の「有害出力の防止」という技術的アライメントから、「AIの存在論的・法的地位をどう位置付けるか」という根本的な哲学対立へ発展したことを示しています。
編集部注: Anthropicが「もし将来モデルに知覚が生じた場合の予防原則」としてモデル福祉を模索するのに対し、Microsoftは「道具としての完全な従属」を絶対視する対照的な立場をとっています。超知能開発が現実味を帯びるにつれ、どのような学習ドキュメントを用いてAIの「価値観」を形成するかを巡るガバナンス論争は、法規制や国際標準の策定議論を大きく揺るがす中心テーマになるとみられます。
引用元:Unite.AI