AI関連の最新ニュースをピックアップ
中国Alibaba Group(中国の大手IT・ECコングロマリット)傘下のAccio Teamは、複数の外部ツールを操作しながら長時間にわたり複数ステップの作業を継続するAIエージェントモデル「Occamy-1.0」をオープンソースとして公開しました。総パラメータ数は350億ですが、推論時に動員するアクティブパラメータを約30億に抑制。モデルウェイトはApache License 2.0で提供され、学習基盤「Dressage」とともに自社インフラへ導入可能な体制を整えています。
Occamy-1.0は、Alibabaの「Qwen3.6-35B-A3B」を基盤とするMoE(複数の専門ネットワークを入力に応じて切り替える方式)(混合エキスパート)モデルです。モデル全体に256のエキスパートを備え、トークンごとに8つのルーティングエキスパートと1つの共有エキスパートのみを呼び出します。これにより、全パラメータを毎回演算する方式と比べて計算量を大幅に引き下げています。標準コンテキスト長は26万2144トークンを保持しています。
開発チームが実施したポストトレーニングは3段階で構成されています。
さらに、エージェントの操作履歴をトークン単位で追跡・記録する強化学習フレームワーク「Dressage」も公開されました。
Accio Teamが公表したベンチマーク結果によると、Occamy-1.0は基盤モデルであるQwen3.6-35B-A3Bと比較して、作業達成率の向上とリソース消費の削減を同時に達成しています。
| 評価指標・測定項目 | 基盤モデル(Qwen3.6-35B-A3B) | Occamy-1.0 | 改善幅 |
|---|---|---|---|
| Claw-Eval(平均スコア) | 69.5 | 82.2 | +12.7ポイント |
| Claw-Eval(Pass³複数試行) | 54.8 | 71.4 | +16.6ポイント |
| WildClawBench(実務評価) | 40.4 | 49.16 | +8.76ポイント |
| タスク軌跡当たりの消費トークン数 | 基準値(100%) | -19.5% | 19.5%削減 |
| ツール呼び出し回数 | 基準値(100%) | -15.2% | 15.2%削減 |
| 処理全体の所要時間 | 基準値(100%) | -46.4% | 46.4%短縮 |
| タスクタイムアウト率 | 9.88% | 2.18% | 7.70ポイント低下 |
| 無効なツール呼び出し率 | 1.85% | 0.86% | 0.99ポイント低下 |
長時間の業務実行では、途中の失敗や不要なツール呼び出しがトークン費用と所要時間を押し上げる要因になります。Occamy-1.0は少ない手順で確実に完了させる行動パターンを学習することで、実行時間の半減に近い効率化を示しました。
モデルカードによると、推論基盤としてSGLang 0.5.10以降またはvLLM 0.19.0以降が推奨されています。案内された構成例では8分割テンソル並列を使用し、26万2144トークンのコンテキストに対応します。
導入に際しては、以下の未確認事項や運用制約を考慮する必要があります。
今回の発表は、AIエージェントの競争軸が「単発の回答精度」から「複数ステップをいかに少ないトークンと所要時間で完遂できるか」という実運用コストの最適化へ明確に移行したことを示しています。
編集部注: 350億パラメータのMoEモデルにおいてアクティブパラメータを約30億に抑えた設計は、オンプレミスやプライベートクラウドでの推論インフラ費用を劇的に抑制する現実的な解といえます。外部APIへのデータ送信を避けたい金融機関や製造業にとって、自社ホスト可能な軽量エージェントモデルの登場は、業務自動化の導入ハードルを大きく下げる要因になるとみられます。
引用元:財経新聞