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咽頭AI内視鏡システムなどを手がける医療AIスタートアップのアイリスは、同社が提供する医師向け医学文献検索ツール「Evidence Finder」において、Sakana AI(自然界の知能を模倣したアルゴリズムや日本語特化モデルを開発する東京発のAIスタートアップ)が開発した大規模言語モデル(LLM(大量のテキストデータから学習した大規模言語モデル))を導入することで合意したと発表しました。薬事日報ウェブサイトが2026年9月16日付で報じました。
今回Evidence Finderに統合されるのは、Sakana AIが開発した日本語特化型モデル「Sakana Namazu」です。同モデルを組み込んだEvidence Finderモデルを用いて、2026年2月に実施された第120回医師国家試験を解いたところ、以下の実績を記録しました。
Evidence Finderの詳細なアルゴリズムは特許出願中であり非公開ですが、アイリスが開発した医療検索アルゴリズムと、Sakana AIが培った日本語言語処理アルゴリズムを融合して実装されます。
医療現場におけるAI導入では、誤った医学知識を提示するハルシネーションの排除と、臨床判断の根拠となる原著論文(一次情報源)の確認が不可欠です。
Evidence Finderは、医師からの臨床上の疑問に対して医学文献データベース「PubMed(米国立医学図書館が提供する生命科学・医学分野の文献データベース)」などを検索し、AIによる回答生成と引用文献の明示を組み合わせて提示します。さらに、AIが回答内で引用した論文の実在性を自動検証する「Verify機能」を標準搭載しており、架空の引用文献が混入するリスクを排除しつつ、医師が一次文献に即座に到達できる導線を提供します。
今回の合意は、日本政府が「骨太方針2026(経済財政運営と改革の基本方針2026)」などで重点施策に掲げる「国産AI(ソブリンAI)の臨床実装」に合致した具体的な取り組みです。
海外製の巨大プラットフォーム依存からの脱却と、日本語のニュアンスや日本の医療制度・保険点数体系に適した国産基盤モデルの実用化という観点から、医療DX推進に向けた重要な試金石となります。アイリスは技術と規制の交わる医療領域で先進事例を社会実装し、日本の保健医療の発展に寄与することを目指すとしています。
汎用LLM単体での医療アドバイスには信頼性の限界が指摘されてきましたが、本事例のように「特化型LLM」と「外部医学文献データベースの自動検証機能(RAG(外部データベースの信頼できる情報を検索して回答生成に組み込む手法))」を組み合わせるアーキテクチャが、今後の専門職向けAIツールの主流になると予想されます。
編集部注: 医師国家試験における96.4%という高得点は基礎的な医学知識の網羅性を示す有力な指標ですが、実際の臨床現場では患者固有の病態把握やガイドラインの解釈など複雑な文脈理解が求められます。Verify機能による一次情報源への直接アクセスを担保した設計は、医師の最終判断責任を尊重しつつ作業負担を軽減する現実的なアプローチであり、今後の臨床現場での利用実績や定着度が注目されます。
引用元:yakuji.co.jp