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米SpaceXのブレット・ジョンセン(Bret Johnsen)最高財務責任者(CFO)は、米投資銀行ゴールドマン・サックスが主催したカンファレンスに登壇し、同社のAIデータセンター基盤を米NVIDIA製のハードウェアに独占的に依存して構築していると明言した。現在2ギガワット(GW)強である地上計算容量を、2027年中に5〜10GW規模へと最大5倍に引き上げる計画を推進しており、NVIDIAとの強固なアライアンスを通じて最先端プロセッサの割当を確実に確保していく方針を示した。
AI業界からの計算資源需要は極めて高く、同CFOは「業界のほぼすべての企業がSpaceXにアプローチしてきている」と語り、AI需要の急拡大が来年以降も持続するとの見通しを強調した。
SpaceXのイーロン・マスクCEOは先月の決算説明会において、NVIDIAの次世代アーキテクチャ「Vera Rubin(NVIDIAが発表した次世代超高性能AIコンピューティングアーキテクチャ)」が市場で最も優れたAI計算プラットフォームであると判断し、同社データセンターの基盤をNVIDIA製品のみで構成する方針を決断したと説明していた。ジョンセンCFOは今回の講演で改めて「我々はNVIDIA独占である」と言明し、自社では制御できない計算リソース調達の確実性を高める上で、この緊密な関係が不可欠であると位置づけた。
両社の関係は単なる顧客とベンダーの枠組みを超えており、NVIDIAは2026年6月末時点で約1億2,300万株のSpaceX株式(評価額にして約210億ドル規模)を保有する大株主でもある。
ジョンセンCFOが明らかにしたインフラ計画と事業運営モデルを整理すると、単なる設備投資の拡大にとどまらず、徹底した投資リスク抑制策が組み込まれていることが分かる。
| 項目 | 2026年末時点の現状 | 2027年の目標水準・戦略 |
|---|---|---|
| 地上計算容量 | 約2 GW強 | 5〜10 GW(ギガワット)規模へ急拡大 |
| ハードウェア構成 | NVIDIA製GPU中心 | NVIDIA次世代プラットフォーム(Vera Rubin)に全面特化 |
| 主要顧客と契約規模 | Google(約11万基GPU提供)、Anthropic(年間最大260億ドル規模) | 月額11.1億ドル(12月1日開始・年換算130億ドル)の新規案件が追加 |
| 契約期間の設計 | 約6カ月の短期コミットメントが中心 | 自社AI(Grok(xAIが開発・提供するフロンティアAIモデル))への迅速なリソース転換余力を保持 |
| 投資回収期間 | 1年未満(1-year payback mode) | 高い再販価値と中古GPUの旺盛な相場を活かし巨額投資リスクを極小化 |
| 主たるボトルネック | 送電網への接続と電力確保 | 2027年目標に必要な電力、施設、各種許認可の見通しをすでに確保済み |
特に注目すべきは「約6カ月」という短期のホスティング契約期間である。巨額の資金を投じて構築した計算設備を他社へ恒久的に明け渡すのではなく、短期で投下資本を全額回収(1年未満のペイバック)した上で、将来的にxAIの「Grok」をはじめとする自社製品の学習・推論インフラへと自在に振り向けられる柔軟性を確保している。
マスクCEOが予見していた「AIの最大の制約要因は電力になる」というシナリオが現実化する中、SpaceXは土地や電力網の確保、自社発電設備の導入などをいち早く進め、インフラ面での先行優位を固めている。
ギガワット単位で電力を手配し、最先端GPUを大量稼働できる事業者は世界でも極めて限られている。SpaceXが外部への計算力提供によって年内ARR1,000億ドル規模のキャッシュフローを確立しながら、その計算パワーを将来のGrok進化へと即座にスライドできる体制を整えたことは、生成AI競争における巨大なレバレッジとなるとみられる。
引用元:TradingView