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米ネバダ州リノを拠点とする半導体スタートアップのPositron AI(ポジトロンAI)は2026年9月、シリーズCおよびシリーズC-1の合同ラウンドで総額8億7,500万ドル(約1,300億円)を調達したと発表しました。これにより同社のポストマネー評価額は50億ドルに達し、2026年2月のシリーズB評価額(約10億ドル)からわずか7ヶ月で約5倍に急伸しました。
Positron AIの評価額急上昇の背景には、高価で供給が逼迫するHBM(High Bandwidth Memory。シリコン貫通電極(TSV)を用いてDRAMを積層した超広帯域メモリ)を汎用的なLPDDR5Xメモリに置き換え、AI推論コストを根本から引き下げるという同社のアプローチがあります。
発表内容に基づくAsimovとNVIDIA主力GPUのアーキテクチャ・運用要件の比較は以下の通りです。
| 比較項目 | Positron AI「Asimov」 | NVIDIA「H100」 / 「H200」 |
|---|---|---|
| メモリ種別 | コモディティLPDDR5X | 高帯域メモリ(HBM3 / HBM3e) |
| メモリ搭載量 | 288GB(CXL経由で最大2.3TB) | 80GB(H100) / 141GB(H200) |
| 推論帯域利用率 | 90%以上(主張値、実効2.76TB/s) | 30%未満(実効1TB/s未満) |
| パッケージング | 有機インターポーザ基板(量産性高) | TSMC CoWoS(供給制約大) |
| 冷却方式・消費電力 | 空冷対応 / 400W | 液冷推奨(HGX等) / 700W |
| サプライチェーン | 複数メモリベンダーから調達可能 | SK hynixやSamsungのHBM生産枠に依存 |
編集部注: 大手AIラボ間の価格競争が激化し、トークン単価が急落するなか、推論サービス事業者の利益率はハードウェアの調達・運用コストに直結しています。HBMとCoWoSの供給制約を回避し、汎用メモリの利用効率を高めるPositron AIの戦略は、業界の「計算地主(Compute Landlord)」としてのNVIDIAの地位に対する強力な挑戦です。ただし、Asimovのテープアウトは2026年末、量産開始は2027年後半とされており、商用展開まで1年以上のタイムラグがあります。その間にNVIDIAの次世代RubinやAMDのMI400、他の推論特化スタートアップが市場に投入されるため、量産時の実性能とエコシステム形成が最大の試練となります。
引用元:Forkast