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米リーガルテック大手Harvey(法律事務所や法務部門向け特化型生成AIプラットフォーム)は2026年9月9日(現地時間)、企業評価額155億ドル(約2兆3,000億円)で5億5,000万ドル(約825億円)の資金調達を完了したと発表した。本ラウンドはDiffusionとLightspeed Venture Partnersが共同主導した。同時に、米サンフランシスコを拠点としAIエージェントの安全性・シミュレーション基盤を開発するGuardrails AI(AIエージェントのリスク検知と安全ガードレールを構築するスタートアップ)の買収も発表した。Harveyにとって2026年に入り4件目の買収案件となる。

今回の資金調達ラウンドには、既存投資家のSequoia、Kleiner Perkins、a16z、Coatue、Conviction、Elad Gil、Evantic、GIC、Goldman Sachs Alternatives、Verified Capital、WNDRが継続参加したほか、Diffusion、Lightspeed、Sapphire Ventures、Whale Rockが新規参画した。
Harveyは直近において、初の事後学習済みオープンウェイトモデルの導入や、法律特化型エージェント評価ベンチマーク「Harvey LAB(Legal Agent Benchmark)」の立ち上げを発表している。調達資金は、世界中の法律事務所、企業内法務チーム、プロフェッショナルファームが大規模にAI知能を内製・運用するための開発加速に充当される。
同社共同創業者のウィンストン・ワインバーグ(Winston Weinberg)氏とゲイブ・ペレイラ(Gabe Pereyra)氏によると、米Am Law 100に選ばれる大手法律事務所の80%、およびFortune 10企業の半数を含む大手法務部門がHarveyを採用しているという。
買収されたGuardrails AIは、AIエージェントが意図した挙動から逸脱するリスクをリアルタイムで検知・制御するオープンソースの安全ガードレール開発で先駆的な実績を持つ。
Guardrails AIの共同創業者であるシュレヤ・ラジパル(Shreya Rajpal)氏とザイド・シムジー(Zayd Simjee)氏、およびそのエンジニアチームは、Harveyのプロダクト・エンジニアリング部門に合流する。高度な機密性と誤謬の許されない法律実務において、自律型エージェントの信頼性担保と監査機能の統合を一段と強固にする。
汎用LLMの性能向上に伴い、リーガルや医療・金融といった専門領域では、単なる対話支援から自律的なエージェントによる業務執行へと焦点が移行している。
法務領域において圧倒的なシェアと資金力を獲得したHarveyが、エージェントセキュリティの専門チームを取り込んだことは、参入障壁を一段と高める動きである。AIが作成・精査した契約書や法務調査結果に対する法的な説明責任(アカウンタビリティ)が重視される中、セーフティ基盤を内製化したプラットフォームが市場の標準基盤となっていくと予想される。