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インドの電気機器大手Havells(インド有数の大手電気製品・コネクテッド家電メーカー)は2026年9月4日、スマート家電を統合管理するIoTアプリ「Havells One」において、音声AIスタートアップElevenLabs(自然な音声合成やリアルタイム音声認識を提供するAIプラットフォーム)の技術を組み込んだ新機能「Agentic AI Voice Mode」の提供を開始しました。同アプリを利用する約270万人の全ユーザーが対象で、エアコンや給湯器、洗濯機など7つの製品カテゴリにわたり、英語および7つのインド地域言語を含む計8言語による自然な対話型操作が可能になります。
従来のスマートホーム音声操作は、あらかじめ定められた定型コマンドや決まった呼び出しフレーズを正確に発話する必要がありました。しかし、日常会話の中で英語と地域言語を自然に織り交ぜて話すインドの家庭環境では、このコマンド型インターフェースが利便性の妨げとなっていました。
Havellsの研究開発部門「Havells CRI(Center for Research & Innovation)」は、ElevenLabsのリアルタイム音声認識「Scribe v2 Realtime(低遅延で音声をリアルタイムにテキスト化する認識モデル)」および音声合成「Eleven v3 Conversational(会話の自然なイントネーションに特化した音声合成モデル)」を採用。これらをHavells独自のデバイス制御エージェントと統合しました。
新機能は、英語のほか、ヒンディー語、タミル語、テルグ語、ベンガル語、カンナダ語、グジャラート語、マラヤーラム語の8言語をサポートします。開発チームは初期プロトタイプを約2週間で構築し、地域言語の音声チューニングや高負荷時の低遅延ストリーミング設定を経て、わずか約6週間で本番環境への全面ロールアウトを完了しました。
今回実装された「Agentic AI Voice Mode」は、固定的な構文解析ではなく、ユーザーの発話から意図と文脈を読み解く仕組みを備えています。
| 比較項目 | 従来のスマートホーム音声操作 | Agentic AI Voice Mode |
|---|---|---|
| 操作パラダイム | 事前定義された固定コマンド入力 | 自然言語による文脈・意図理解 |
| 言語サポート | 英語・ヒンディー語の個別コマンド | 英語+インド7言語(混在した口語表現に対応) |
| 複数機器への指示 | 1機器ごとに独立した発話が必要 | 単一の発話から複数機器への指示を分解・同時実行 |
| 会話の文脈保持 | 単一ターンでの処理 | 複数ターンの文脈を保持(「もう少し弱く」等の追従指示に対応) |
| 曖昧性の解消 | エラーまたは誤判定 | 同一機器が複数ある場合にどの部屋かを尋ね返す対話フィードバック |
| トラブル対応 | 対応不可 | 家電のエラーコードを自然言語で解説し対処手順を案内 |
アシスタントは、「給湯器とファンをつけて」といった複合的な指示を自動で分割して同時に実行できるほか、「ちょっと寒く感じる」といった曖昧な発話に対しても、ファンを弱めてエアコンの設定を調整するなど意図に沿った処理を行います。
多言語社会であるインド市場において、言語と構文の制約を取り払った音声エージェントの実装は、コネクテッド家電の普及を大きく加速させる実用例といえます。ユーザーがシステムに合わせるのではなく、AIが人間の日常の言葉遣いに適応するアプローチは、スマートホームの操作性を根本から変える可能性を秘めています。
Havellsは今後、家族一人ひとりの生活リズムに応じたパーソナライゼーションや、製品FAQ・自動化ルーティンへの対応拡大を計画しています。ハードウェアの販売にとどまらず、ソフトウェアとエージェントAIを軸にユーザーとの継続的な接点を深める同社の取り組みは、今後の家電エコシステムの方向性を示す先行事例として注目されます。
引用元:ElevenLabs