AI関連の最新ニュースをピックアップ
米エンタープライズソフトウェア大手のServiceNowが、イスラエルのAIスタートアップ企業Sweepを数億ドル規模で買収することで合意したことが、現地メディアCTechの報道で明らかになりました。ServiceNowは近年、企業業務の自動化を担う自律型AIエージェント(目標達成に向け自律判断・行動するAI)の拡充を急いでおり、今回の買収を通じてCRM(顧客関係管理を行う業務システム)およびGo-to-market(市場展開・営業)領域におけるエージェント実行能力を大幅に引き上げる狙いです。

Sweepは2021年にIdo Gaver氏とEran Kirshenboim氏によって設立されたスタートアップで、これまで公表ベースで累計4600万ドルの資金を調達していました。直近では2025年5月にInsight Partnersが主導しBessemer Venture Partnersが参加したシリーズBで2250万ドルを調達しています。
同社の中核技術は、ServiceNow、Salesforce、HubSpotなどの複数の企業向けプラットフォームを横断して稼働する「エージェント型ワークスペース(agentic workspace)」です。各システムのメタデータを監視して業務プロセスの不整合やボトルネックを自動検出し、ドキュメント生成やユーザー支援を行います。さらに、問題を検知・警告するだけでなく、AIエージェント自らがシステム設定の変更を提案・実行する「エージェント層(agentic layer)」の開発を進めてきました。すでにLG Electronics、Wix、Brex、NBC Sportsなどの大手企業で導入実績を持っています。
ServiceNowはCTechに対する書面回答で、「Sweepの技術と専門知識は当社のAIネイティブ開発能力を強化し、CRM向けのエージェント展開を前進させる。顧客にとっては、エージェントシステムを拡張する際の価値創出までの時間(time-to-value)が直接的に短縮される」とコメントしています。
今回の買収は、ServiceNowが推進する自律型エンタープライズ戦略の一環です。同社は今年に入り、イスラエルのAI・セキュリティ企業に対する巨額投資を矢継ぎ早に実施しています。
| 対象企業 | 主な事業領域 | 推定取引規模・時期 |
|---|---|---|
| Armis | サイバーセキュリティ・資産管理 | 約77億5000万ドル(完了済み) |
| Pyramid Analytics | 次世代アナリティクス | 数億ドル規模 |
| Traceloop | AIオブザーバビリティ(可観測性) | 約6000万〜8000万ドル |
| ai.work | 社内業務(IT/人事/法務等)自動化エージェント | 数千万ドル規模(2026年7月) |
| Sweep | CRM・営業業務向け自律型エージェント | 数億ドル規模(今回の合意) |
ServiceNowが関与したイスラエル関連企業の買収総額はすでに80億ドルを超えています。なお、現時点で両社による公式プレスリリースは発行されておらず、正確な買収総額や買収完了の期日、既存のSweep単体サービスが将来的にどう統合されるかといった細部は公式には開示されていません。
これまでエンタープライズソフトウェアにおけるAI支援は、ダッシュボードの分析や要約、チャットによる問い合わせ対応が中心でした。しかしSweepの買収が示すように、競合プラットフォームを含む複数のSaaSにまたがって変更を自律適用する「実行型エージェント」が次世代の標準になりつつあります。ServiceNowが自社プラットフォームの内外を問わず連携可能なエージェント基盤を傘下に収めたことは、大規模顧客の業務自動化を一段と加速させる動きと評価されます。
引用元:ctech