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横浜に本社を置くAI技術企業の株式会社ai&(エーアイアンド)と、次世代プロセッサを開発する米Tenstorrent(テンストレント)は2026年9月3日、オープンソースの構造生物学および創薬AIモデルを日本国内の計算インフラ上で完全完結して提供するプラットフォーム「JapanFold(ジャパンフォールド)」を開設した。国内の大学、研究機関、製薬企業向けに提供され、推論コストをai&が負担することで、学術研究機関は無償で計算基盤を利用できる。
JapanFoldは、タンパク質の構造予測から新規医薬品候補分子の設計まで、創薬ワークフローを包括するオープンソースモデルを3つの領域にわたり提供する。
利用者のアクセス手段として、登録やインストールが不要なブラウザ版「Workbench」、非同期ジョブ実行に対応した共通HTTP API、およびClaude Code(Anthropicが提供する端末型コーディングエージェント)やCursor、Codex等から直接呼び出せるエージェントスキルが用意されている。
計算基盤には、TenstorrentのAIアクセラレータサーバー「Galaxy Blackhole」が採用されている。
| 項目 | Galaxy Blackhole サーバー仕様 |
|---|---|
| 搭載プロセッサ | 32基のBlackhole ASIC |
| 計算能力 | 23 PFLOPS(Block FP8) |
| メモリ構成 | 6.2GB SRAM(アクセラレータ内蔵)+ 1TB GDDR6 |
| 筐体・冷却 | 6U空冷ラックマウントシステム(定価16万ドル) |
| クラスタ構成 | 4台連結のスーパークラスタ(64万ドル〜) |
ai&共同創業者のデイビッド・ベネットCEOおよび原晋平氏は、タンパク質立体構造予測モデルが大規模言語モデル(LLM)のようなメモリ帯域律速ではなく「演算性能律速」である点に着目した。実機ベンチマークにおいて、512残基のタンパク質計算時にNVIDIA DGX B200と同等のスループットを約5分の1のハードウェア導入コスト(ドルあたり約5倍のスループット)で達成したと報告している。
バイオテクノロジーや創薬研究において、ターゲット分子の構造データや化合物情報は極めて機密性が高い知的財産である。
従来のクラウドAIサービスでは海外のデータセンターへデータを送信せざるを得ず、情報漏洩やデータ主権(Sovereignty)の喪失が大きな懸念となっていた。JapanFoldはすべての計算が日本国内のデータセンター内で完結するソブリンインフラ(Sovereign Infrastructure)として設計されており、国内のバイオコミュニティが機密データを国外に持ち出すことなく最先端AIを活用できる環境を実現した。
Jim Keller(ジム・ケラー)CEO率いるTenstorrentのRISC-V/AIチップが、商業的な生命科学計算の現場で大規模に実稼働を開始したことは、GPU一強が続くAI半導体市場において大きなマイルストーンとなる。演算特性に最適化したハードウェアと国内主権インフラの融合は、科学技術計算分野におけるAI基盤の新たなモデルケースになるとみられる。
引用元:Unite.AI