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サウジアラビアの政府系ファンド傘下企業であるHUMAINと、半導体大手のQualcomm(米国のモバイル・ワイヤレス通信および半導体企業)は、サウジアラビアのテクノロジーイベント「LEAP 2026」において、次世代AIパソコン「Horizon Ultra」を発表した。18コアの新世代プロセッサ「Snapdragon X2 Elite」を搭載し、法人向けに2026年9月20日より発売される。

Horizon Ultraは、過去12カ月にわたりQualcommの全面的な支援を受けて共同開発された製品である。心臓部となる「Snapdragon X2 Elite」チップセットには、18コアの独自CPU「Qualcomm Oryon」に加え、グラフィックスを担う「Adreno」GPU、そしてAI推論を専門に担う「Hexagon」NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)が統合されている。
内蔵された専用AI処理エンジンにより、機密データを外部のパブリッククラウドへ送信することなく、端末ローカル上で高速かつ高応答なAI処理を完結できる。さらに、大容量処理が必要なワークロードに対しては、クラウド上のAI環境へ透過的に拡張するハイブリッド連携機能を備えている。
初期出荷モデルはOSにWindowsを採用し、サウジアラビアの販売パートナーであるAlFalakを通じて法人向けに展開される。また、2027年には独自の「HUMAIN OS」を導入し、OSレベルでのAI統合をさらに深める計画も明らかにされた。
パソコン本体の発表と同時に、大手クリエイティブソフトウェア企業のAdobeが、中東地域向けのAIデータキャプション処理ワークロードをHUMAINのAIインフラへ移行することも発表された。
このインフラにはQualcommのAIアクセラレーター「Dragonfly」が採用されており、グローバルソフトウェア企業がHUMAINプラットフォームへ移行する初の事例となる。これにより、データ主権要件に沿って計算処理とデータ保持をサウジアラビア国内で完結できる体制が整備される。
日本市場への投入時期や価格、技適対応の有無については現時点で未発表であり、初期の販売地域は中東エリアが中心となる。しかしながら、「Snapdragon X2 Elite」を搭載したオンデバイスAI PCの実用化事例として、今後の国内PCメーカー各社による次世代Snapdragon搭載マシンの製品展開を占う指標となる。
中東諸国は石油依存からの脱却を目指して国家規模でAI投資を加速させており、サウジアラビア政府系ファンドによるHUMAINの設立はその象徴である。Qualcommにとっては、PC市場におけるArm系プロセッサの牙城を築くとともに、データセンター向けアクセラレーター「Dragonfly」の採用実績を中東で確立する戦略的な足がかりとなる。オンデバイスと地域特化クラウドを組み合わせた「データ主権対応AI」の動向は、各国政府やエンタープライズにとって注視すべき潮流である。
引用元:ケータイ Watch