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アリババ・グループ(Alibaba Group Holding Ltd.)の株価が香港株式市場で力強い反発を見せている。2026年第2四半期(4〜6月期)において香港市場の株価は34%急伸し、ハンセンテック指数(香港証券取引所に上場する主要ハイテク企業30社で構成される株価指数)の構成銘柄中で首位のパフォーマンスを記録した。独自の大規模言語モデルQwen(アリババが開発するオープンウェイトの大規模言語モデルシリーズ)(通義千問)の世界的普及と、それを支えるクラウドインフラ事業の再成長が、市場の評価を大きく押し上げている。
アリババは中国のAIブーム初期における牽引役だったものの、スタートアップの台頭や競合他社の技術発表によって一時期は注目が分散していた。しかし、グローバル規模でコストパフォーマンスの高い中国発AIモデルへの需要が高まるなか、オープンウェイト(モデルの重みパラメータが公開され、ローカル環境等で自由に利用可能な提供形態)で展開されるQwenシリーズの採用が急拡大したことで状況が一変した。
ブルームバーグの集計データによると、アリババの6月期売上高は前年同期比8.4%増が見込まれており、過去約3年間で最も高い成長ペースとなる見通しである。また、JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co.)のアナリストであるアレックス・ヤオ(Alex Yao)氏の分析では、フードデリバリーやクイックコマースへの投資損失が縮小していることに加え、クラウド事業の増収率加速とマージン改善によって、決算内容が市場の懸念を上回る可能性があると指摘されている。
AI市場の主戦場が単一モデルの性能競争から、用途やコストに応じてモデルを選定するマルチモデル環境へとシフトするなか、プラットフォームおよびクラウド基盤の優位性が重要度を増している。
調査会社Omdiaの推計によると、中国のクラウドインフラ市場におけるシェアはアリババが突出している。
| 企業名 | クラウド市場シェア(2025年第4四半期) | 主なAI戦略の重点領域 |
|---|---|---|
| アリババ(Alibaba) | 37% | 自社設計チップ、クラウド基盤、Qwenモデル、開発者向けエージェントまでフルスタック投資 |
| ファーウェイ(Huawei) | 17% | 通信インフラおよび独自ハードウェア・クラウド基盤の統合 |
| テンセント(Tencent) | 10% | ソーシャルメディア・ゲーム・コンテンツ事業へのAI機能組み込み |
テンセントがSNSやコンテンツ領域へのAI適用に注力しているのに対し、アリババは半導体設計からクラウド、基底モデル、コンシューマー向けアプリ(Qwenアプリ)、企業向けAIエージェントに至るフルスタックの製品群に大規模な投資を継続している。シティグループ(Citigroup Inc.)のアナリストであるアリシア・ヤップ(Alicia Yap)氏は、長期的な成功には莫大なリソースと強固な顧客基盤が不可欠であり、フルスタック体制を備えるアリババが市場をリードする有利な位置にあると評価している。
一方で、Seeking Alpha等の市場プレビューが指摘するように、各種事業への巨額のAI投資継続に伴い、利益面では前年同期比で約21%の減益が見込まれるなど、収益性への負荷は依然として残る。しかし、同業のテンセントやバイドゥ(Baidu Inc.)が決算後に株価を軟化させたのに対し、アリババはテンセントに対して10年以上ぶりにバリュエーション(企業価値評価)のプレミアムを維持して取引されている。
単なる「国内消費低迷に悩むネット通販大手」から「持続可能な収益基盤を持つAIテクノロジープラットフォーム」へと事業構造の転換が進むアリババの動向は、今後のアジア圏におけるAIインフラ市場の勢力図を占う上で重要な指標となりそうだ。
引用元:NDTV Profit | Seeking Alpha