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法律業務特化型AIプラットフォームを提供する米Harveyは、弁護士や法務担当者個人の業務手法・ドラフティング作風を学習・記憶する新機能「Memory」を統合した新世代プラットフォーム「Harvey II」を発表しました。ユーザーごとの記述スタイルや法的判断の好みを保持し、対話インターフェースだけでなくMicrosoft WordやOutlookを横断して一貫した作業支援を提供します。
Harvey IIは、2026年1月に予告されていたMemory機能を中核に据えた大型アップデートです。単に指示に応答する従来のAIツールにとどまらず、各弁護士のドラフティング手法やフォーマット基準を記憶し、案件ごとにプロンプトを再入力する手間を削減します。
今回提供されるのは「Personal Memory(個人用メモリ)」で、今後数か月以内に関係者間の共有スペース(Matter Spaces)への適用、将来的には組織全体(Organisation-wide Memory)でのナレッジ共有へと段階的に拡張される予定です。
本機能の開発にあたり、Harveyは過去6か月間にわたり米国のAmLaw選出法律事務所、英国のMagic Circle法律事務所、Fortune 500企業の企業内法務部など世界的なリーガルチームをデザインパートナーに迎えて検証を重ねてきました。豪大手法律事務所MallesonsのMichelle Mahoney氏は、「一度設定したドラフティング方針がすべての案件に反映され、AIが単なるツールを超えて弁護士の延長のように機能する」と評価しています。
| 機能・運用項目 | 仕様と制御方針 |
|---|---|
| クロスプラットフォーム連携 | Harvey Web環境、Microsoft Word、Microsoft Outlookで個人の好みを共有 |
| 記憶の可視性と制御 | ユーザーはHarveyが何を記憶しているかを常時閲覧・編集・完全削除可能 |
| データ保護とモデル学習 | Memoryに保存されたデータは基盤AIモデルの学習には一切使用されない |
リーガルテック分野では、正確性と機密保持が最重要視されます。一般的な汎用AIではチャットごとにコンテキストがリセットされるか、長文の指示を埋め込む必要がありました。Harvey IIのMemory機能は、弁護士固有の言い回しや顧客ごとの個別要件を自動適用することで、文書作成の均質化と大幅な時間短縮を両立します。
一方で、個人の古い作成スタイルや誤った判断基準が記憶された場合に修正するガバナンス体制や、組織全体へ共有した際の情報遮断(コンフリクト管理)の運用ルール確立が今後の実務的な課題となります。
編集部注: 大規模言語モデルの汎用推論能力が成熟する中、バーティカルSaaSにおける競争軸は「プロンプト入力の省力化」と「個人の暗黙知の獲得」へシフトしています。Harvey IIのアプローチは、法律実務にとどまらず、医療・金融・会計などの専門職向けAIエージェントの設計指針としても注目されます。