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次世代AI推論クラスタを開発する米スタートアップのEtchedは、大手クオンツ・トレーディング企業のJane Streetが主導するラウンドにおいて、企業評価額210億ドル(約3兆1500億円)で7億ドル(約1050億円)の資金調達を完了したと発表しました。同時に、同社初となる商用顧客のJane Streetへ推論クラスタ初号ラックの納品を完了し、本番ワークロードでの実稼働を開始しました。
今回の資金調達ラウンドには、リードインベスターのJane Streetに加え、Kleiner Perkins、Sequoia Capital、Andreessen Horowitz(a16z)、Tiger Global、Bain Capital Ventures、Neo、Primary、Stripes、Positive Sum、Blackstoneが参加しました。これにより同社の累計調達額は19億ドルに達しています。
Etchedはシード調達から3年未満で実シリコンの製造に成功し、2026年6月に400人以上のチームでステルス解除しました。その直後にSequoia主導のシリーズCを完了したばかりですが、今回のラウンドで評価額はさらに倍増し210億ドルに達しました。同社は現在、3世代にわたるハードウェアを並列で開発しています。
初の商用顧客となったJane Streetは、納品されたラックを自社データセンターに配備し、もっとも負荷の高い金融クオンツ処理での運用を開始しています。
Etchedは民間・公共のフロンティアAI企業やクラウド事業者からすでに10億ドル以上の顧客契約を獲得しており、システムは大規模なMoE(複数の専門家ネットワークを切り替えて処理するモデル構造)モデルや非Transformer設計のモデル稼働に対応しています。
| 中核技術 | 特徴と技術的利点 |
|---|---|
| 低電圧推論(LVI: Low Voltage Inference) | 既存のハードウェアと同一の消費電力枠内で、大幅に高い計算密度を実現する電力効率最適化技術 |
| クラスタ規模メモリ(CSM: Cluster Scale Memory) | チップ単体ではなくラックおよびクラスタ全体で巨大な共有メモリプールを構築するハイブリッドメモリ方式 |
これらの技術革新により、業界最高水準のスループットと低遅延を達成し、膨大な推論需要に対する計算コストを大幅に削減できるとしています。
AIインフラ市場は2030年までに7兆ドル規模へ拡大すると見込まれる中、AIの活用現場ではモデル学習から実運用の推論計算へのシフトが進んでいます。
ただし、Etchedの推論クラスタがどのようなモデル更新サイクルや新アーキテクチャに対して柔軟に適応できるか、また急拡大する受注残に対する製造・サプライチェーンの供給能力については今後の納品実績を見守る必要があります。
編集部注: 金融取引のように極限の低遅延と精度が要求される環境でJane Streetが本番導入した実績は、汎用GPUが支配的なAI推論インフラ市場において、特化型クラスタが競争力を持つ強力な実証例になるとみられます。
引用元:GlobeNewswire