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Anthropicは2026年8月10日、未公開の研究版 Claude(Anthropicが開発した大規模言語モデル) を用いて数学の未解決問題「リーマン予想」に関連する検証を行った研究論文を公開した。リーマン予想自体の完全証明には至らなかったものの、リーマンゼータ関数の自明でない零点のうち「臨界線上」に存在する割合について、従来の約41.7%を大幅に更新する「67.25%以上」という新たな下限を自動導出した。

今回の研究は、Claude Code(Anthropicの開発者向けCLIツール) 上で研究版モデルを駆動させて実施された。Claudeは2回のセッションで合計3,100万トークンを出力し、約60個のサブエージェントを動かしながら2,400回のシェルコマンドを実行、数百本のPythonスクリプトによる数値チェックを重ねた。
Claudeは数学者エンリコ・ボンビエリ氏らの過去の先行研究と線形代数的手法を自力で組み合わせ、以下の題名の論文を構成した。
More Than Two Thirds of the Zeros of the Riemann Zeta Function Lie on the Critical Line
さらに、導出した証明の主要な定理を形式的検証言語 Lean 4(数学の定理証明を機械的に検証するプログラミング言語) で記述し、GitHubリポジトリ(anthropics/zeta-23-lean)にて公開している。
| 項目 | 従来の記録(2020年) | 今回のClaudeによる成果 |
|---|---|---|
| 臨界線上の零点割合 | 少なくとも 5/12(約41.7%) | 無条件で 2/3以上(最適化時 **約67.25%**) |
| 主なアプローチ | 従来解析手法 | ボンビエリ氏の研究と線形代数手法の融合 |
| 形式的検証 | 人間の手作業 | Lean 4 による自動形式化とコード公開 |
本研究において異例だったのは、人間とAIの役割分担である。実験を担当したAnthropicのスタッフは、Claudeに高度な数学的アイデアを与えるのではなく、探索に難航するClaudeに対して「keep going(そのまま続けろ)」や「believe in yourself(自分を信じろ)」といった心理的促しを中心に入力し続けた。プロンプトによる肯定的なフィードバックが、AIの探索範囲の狭まりや試行放棄を抑止したと分析されている。
一方で、未確認事項や誤解を防ぐための整理も重要である。「零点の67.25%が臨界線上にある」という証明は、すべての零点が臨界線上にあることを意味するリーマン予想全体の証明ではない。有限個の例外が存在する可能性が残されているほか、AIが導出した証明の健全性については、Anthropic内外の人間数論研究者(レベント・アルページ氏やラルフ・ファーマン氏ら)による事後検証が行われている。
今回の事例は、AIが単なるコード生成や文脈要約を超え、複数の先行論文や数学的ツールを統合して高度な推論(Reasoning)を行う自律的研究パートナーへと進化したことを示している。最初から狙っていたリーマン予想そのものは解けずとも、関連する未解決問題で新たな数学的知見を導いた点は極めて重要である。今後は他分野における複雑な理論証明や、Lean 4を用いた自動定理証明の産業応用への波及が期待される。
引用元:GIGAZINE