AI関連の最新ニュースをピックアップ
AIモデル最適化を手がけるMultiverse Computingは、Qualcomm Technologiesとの提携を発表しました。本提携により、Multiverse Computingのモデル最適化技術をQualcommの最新AIアクセラレータ「Qualcomm Dragonfly AI200」および「AI250」に特化させ、世界中のデータセンターで大規模なAIワークロードをより高速かつ省電力で運用可能にします。

今回の協業の大きな狙いは、データセンター事業者が既存ハードウェアのままAI処理容量を劇的に拡大することにあります。Multiverse Computingの技術によりモデルの計算量とメモリフットプリントを事前圧縮・削減することで、インフラを追加することなく同時推論リクエスト数の向上や並列モデル運用の拡大が可能となります。
両社がMobile World Congress(MWC 2026)で行った実証デモ(Qualcomm Cloud AI100 Ultra上での圧縮LLM動作)では、高いパフォーマンス改善結果が実証されています。
| ユースケース | 応答速度 / 処理速度 | スルーブット | メモリ消費削減 | 電力消費削減 | 精度変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 救急医療レポートデモ (LLM圧縮) | 最大93%高速化 | 最大44%向上 | 最大45%削減 | 最大21%削減 | 劣化なし |
| オンプレミスRAGチャットボット | 最大35%高速化 | 最大54%向上 | 最大45%削減 | 最大14%削減 | 劣化なし |
新型のDragonfly AI200およびAI250環境では、これらのデモ数値をさらに上回る性能改善が得られる見込みです。
本提携にあたり、両社幹部は以下のようにコメントしています。
「Qualcomm Technologiesは、省電力・高効率が重要視されるモバイルやIoT領域で技術を築いてきました。その原則が今やAIデータセンターにも不可欠となっています。Qualcommの高性能アクセラレータと当社のモデル圧縮技術を組み合わせることで、性能・コスト・エネルギー効率の画期的な向上を実現します。」 — Victor Gaspar氏(Multiverse Computing 最高営業責任者)
「エンタープライズやクラウド基盤でAI導入が加速する中、お客様は高性能と高効率を同時に求めています。Qualcommが業界をリードするAIアクセラレーションを提供し、Multiverseが個々のユースケースに合わせてモデルを最適化することで、現代のデータセンターが必要とする高効率AIソリューションを届けることができます。」 — Dino Flore氏(Qualcomm Europe 副社長)
今回の提携は、大規模AIモデルの拡大に伴い電力消費とハードウェアコストが爆発的に増加する中、業界全体が「効率優先のAIインフラ」へシフトしている流れを象徴しています。
日本のデータセンター事業者やクラウドプロバイダーにとっても、電力供給制限やコスト上昇が大きな課題となっています。ハードウェアの単純追加に依存せず、アクセラレータとモデル圧縮の統合的アプローチによって電力効率を最大化するアプローチは、日本市場でのサステナブルなAIインフラ運用においても極めて重要な指針となります。
引用元:GlobeNewswire