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インテルは2026年7月23日、東京都内で自社イベント「インテル・ロボティクス・ワークショップ2026」を開催し、ロボティクスやフィジカルAI(ロボットなど物理世界で動作するAI)向けの新戦略を披露した。データセンターや大規模AIモデルの処理に強みを持つNVIDIAに対し、インテルは電力効率に優れたエッジ(現場に近い場所での処理)向けソリューションで対抗する構えを示した形だ。日本国内の組み込み機器メーカーやロボット開発者にとって、選択できるAIプラットフォームの幅が広がる可能性がある。
イベントでは、AI PC向けプロセッサ「Intel Core Ultra シリーズ3」(開発コード名:Panther Lake)が主役として紹介された。CPU、GPU、NPU(AI処理専用回路)を単一のSoC(System on Chip)に統合し、最大180TOPSのAI演算性能を提供する。
従来は「AI推論用」と「ロボット駆動制御用」の2つの計算基盤を別々に用意する必要があったが、これを1枚のボードに統合したことで、TCO(総所有コスト)の削減、省電力化、ms(ミリ秒)単位の低遅延な制御を同時に実現したという。実際に「Core Ultra シリーズ3」を搭載する評価ボードや、中国Unitree製ヒューマノイド「G1」に同プロセッサを組み込んだデモ機も会場で公開された。
ソフトウェア面では2つの開発ツールが紹介された。
インテル 代表取締役社長の大野誠氏は講演で、「われわれは40年を超える産業向けコンピューティングの実績を積んできている」と述べ、同社が長年組み込み・産業機器向け半導体を手掛けてきた経緯を強調した。大野氏はさらに、「現在AIのほとんどはクラウド上で処理され、使われているのはほぼGPUだが、開発環境は限定的なエコシステムにとどまっている」と指摘し、「今後はクラウド型からエッジ型に変わっていくのではないか」と語った。
こうした発言の背景には、データセンターや巨大なAIモデルのリアルタイム処理に強みを持つNVIDIAと、エッジでの省電力性能を訴求するインテルという構図がある。同じ「ロボット・フィジカルAI」市場でも、NVIDIAはクラウド・データセンター側の演算基盤で存在感を持つのに対し、インテルは現場(エッジ)に近い機器への搭載を軸に据えている点が、今回のイベントで示された両社のアプローチの違いだ。
今回インテルが示したのは自社イベントでの戦略発表であり、NVIDIA側から対抗策や公式コメントが出されたわけではない。「Core Ultra シリーズ3」の日本国内での具体的な価格や搭載製品の発売時期など、詳細は今回のレポートには記載がなく、現時点では未確認である。
編集部注: インテルが強調する「エッジでの省電力性能」がどの程度の実用的な競争力を持つかは、今回のデモや講演内容だけでは判断が難しく、実際のロボット導入事例や第三者によるベンチマーク結果を待つ必要があるとみられる。とはいえ、NVIDIAが強いデータセンター向けAIと、インテルが訴求するエッジ向け省電力AIという二極化が今後のフィジカルAI市場で鮮明になっていく可能性はありそうだ。
引用元:MONOist