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NVIDIAは2026年8月4日、米ストレージ関連カンファレンス「フューチャー・オブ・メモリー・アンド・ストレージ」で、GPUとストレージを直結させるAPI「cuFile」をオープンソース化したと発表した。合わせて、ストレージ・フラッシュメモリ関連の40社超が参加する新イニシアチブ「Storage-Next」も立ち上げた。AIの学習・推論で問題になりやすい「データ待ち」によるGPUの遊休(アイドル)状態を減らす取り組みで、クラウド事業者やストレージベンダーにとって設計指針が変わる可能性がある発表だ。
cuFile(GPUメモリとストレージを直結させるNVIDIAのAPI)は、NVIDIAのGPU直結ストレージ基盤「GPUDirect Storage」の中核コンポーネントで、2021年7月にCUDA Toolkit 11.4と同時に正式リリース(GA)された既存機能だ。今回オープンソース化されたのは、このcuFileのAPI部分である。
cuFileはDMA(CPUを介さずメモリ間でデータを転送する方式)(ダイレクト・メモリ・アクセス)を使い、NVMeドライブなどのストレージからGPUメモリへ直接データを転送する。通常はCPUやシステムメインメモリを経由する処理を省くため、メモリアクセスの遅延を大きく減らせるという。NVIDIAによれば、これによりストレージからの安全なデータアクセスをミリ秒単位で行えるとしている。
記事では、GPUが計算のためにデータを待つ間、分散配置された一部のGPUが遊休状態になる「GPU starvation」という現象が課題として挙げられている。cuFileによる高速化は、RAG(検索で得た情報を回答生成に組み込む手法)(検索拡張生成)やエージェント型AIのような、大量データを高頻度で読み書きするワークロードで特に効果を発揮するという。
NVIDIAは今回、Storage-Nextという業界横断の取り組みも発表した。DataDirect Networks(DDN)、Kioxia、Micron Technologyなど、ストレージ・フラッシュメモリのベンダー、コントローラーメーカー、冷却技術企業、標準化団体を含む40社超が参加し、GPU主導のストレージ技術の次世代規格づくりを進める。
その基盤技術として位置づけられるのが、NVIDIAが構築する「SCADA(GPUが高帯域・低遅延でデータを取得するための基盤技術(Scaled, Accelerated Data Access))」(Scaled, Accelerated Data Access)だ。大量のGPUが並列に高帯域・低遅延でデータを取得できるようにする仕組みで、AI学習時の一括大量アクセスや、思考速度の速い大規模MoE(混合エキスパート)モデルの推論、エージェント型ワークフローでのツール呼び出しなどを想定しているという。
DDNのCTOであるSven Oehme氏は次のようにコメントしている。
「AIの成功は、どれだけのインフラを所有しているかではなく、それをどれだけ生産的に使えているかで決まる。NVIDIAとの協業により、GPUとデータの間により直接的で効率的な接続が生まれ、アクセラレーテッド・コンピューティングのリソースを生産性の高い状態に保ち、インサイトを得るまでの時間を短縮し、AI投資からより高い事業・財務リターンを得られるようになる」
raw記事は、GPUによるストレージへの直接アクセスが持つセキュリティ上のトレードオフにも触れている。SCADAのような直接アクセス技術は、複数の処理が同じデータへ同時に書き込む「クロバー(clobber、上書き事故)」を防ぐ既存の安全策を通り抜けてしまう場合があり、暗号化や権限管理といった保護機構を迂回するリスクも指摘されている。
これに対しNVIDIAは、アクセスを2系統に分離する設計でこの課題に対応するとしている。ユーザー側のアプリケーション部分は生の速度を得られる一方で、セキュアな信頼済みコンピューティング基盤の外側に置き、別途用意した権限付き(privileged)のコンポーネントがLinuxの規約に沿って保護されたアクセスを設定し、クロバーを防ぐ構成だという。
Storage-Nextの参加企業リストには、日本のフラッシュメモリメーカーであるKioxia(キオクシア)の名前も挙がっている。編集部注: raw記事ではKioxiaの参加が事実として明記されているのみで、同社の具体的な役割や貢献範囲は述べられていない。ただし、日本発のストレージメーカーがGPU主導ストレージの標準策定に加わることは、国内のデータセンター・ストレージ業界にとって、次世代規格への準拠状況を早期から把握できる立場になる可能性を示すものだとみられる。
cuFileは2021年のGA以来、NVIDIAのGPUDirect Storageを支える非公開コンポーネントとして使われてきた。それを今回オープンソース化した背景には、AIワークロードの主流が学習中心から、大量データを頻繁に読み書きする推論・エージェント型AIへ移りつつあることがあると考えられる。GPUの計算能力そのものよりも、データをどれだけ速く供給できるかがボトルネックになりやすいという課題意識が、API公開とStorage-Nextという業界連合の両方につながったとみられる。
一方で、raw記事にはオープンソース化されたコード自体のライセンス形態、公開時期や具体的な提供チャネル、SCADAの権限分離機構の実装詳細などは記載されていない。これらは今回の発表だけでは確認できない点として留意したい。
引用元:siliconangle.com