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Appleの有料機能「iCloud Private Relay(Safari利用時にIPアドレスやDNS情報を秘匿する有料iCloud+機能)」が、パスキー(パスワード不要の生体認証ベースのログイン方式)を使う(または使うふりをする)ウェブサイトに対して、利用者の実IPアドレスを漏えいさせる場合があることが、セキュリティ研究者Tommy MyskとTalal Haj Bakryの調査で判明した。iCloud+の有料プランに含まれるこの機能はSafariでのブラウジング時にIPアドレスとDNS情報を秘匿するとされているが、端末のすべての通信を隠すVPNではない。プライバシー保護を目的とした有料機能が想定外の経路で回避されてしまう点が問題で、iCloud+を契約してPrivate Relayを利用している利用者に直接関係する内容だ。
パスキーはWebAuthn(パスワードレス認証のWeb標準規格)という規格を使い、秘密鍵はSafariではなく端末側に保存される。研究者らの調査によると、WebKitはWebAuthnの認証処理をOSの認証情報サービスに渡し、このサービスはアプリ側が設定したプロキシを経由せず、端末から直接HTTPSリクエストを発行する。サイト側はrpIdを任意のホスト名に設定できるほか、mediation: "conditional"を指定すればユーザー操作や画面表示なしにリクエストが送信されるという。つまり、WebAuthnに対応(または対応を装う)サイトを訪れるだけで、パスキーのプロンプトが表示されないまま実IPアドレスが送信先サーバーに渡ってしまう。
研究者らは、WebKitの別の2つの機能でも情報漏えいを確認したと報告している。iOS 26で追加されたDNSプリフェッチ(ページ表示前に関連ドメインのDNS解決を先読みする機能)は利用者の実際のDNSサーバーを露出させ、iOS 26.4で追加されたWebTransport(低遅延の双方向通信を可能にするWeb標準規格)も実IPアドレスを明らかにする可能性があるという。Appleはニュースメディアの404 Mediaに対し、この報告を調査中であると回答した。研究者らは、自分の環境で漏えいが起きているかを確認できるテストサイト(leaks.psylo.app)も公開している。
Appleから修正の提供時期は現時点で発表されていない。問題はブラウザエンジンであるWebKit自体の動作に起因するため、Safariに限らず、iOS/iPadOS/macOS上でWebKitを利用する他社製ブラウザも同様に影響を受ける可能性があると記事は指摘している。どの範囲のサイト・条件で漏えいが再現するかを網羅的に検証した結果は今回の報道内容だけでは確認できず、影響の全容は未確定である。当面の対策として、記事はより広い範囲の通信を秘匿できるVPNの利用を選択肢として挙げている。
編集部注: Private RelayはAppleが「プライバシー保護」を訴求する有料機能であり、パスキーというApple自身も普及を推進してきた認証技術との組み合わせで保護が破られる形になった点は、OS標準機能とプライバシー機能の相互作用を見直す必要性を示しているとみられる。WebKitのエンジン内部の設計に起因する問題であるため、単純なアプリ側の修正では解決しにくく、対応には時間がかかる可能性がある。