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米OpenAIは2026年8月3日(現地時間)、公式ブログで「Apple is getting this wrong(Appleは間違っている)」と題する文書を公開し、Appleが起こした営業秘密の不正取得訴訟に全面的に反論した。OpenAIは訴訟の内容を「軽率で攻撃的、そして奇妙なほど個人的」と評し、Appleの営業秘密は「持っていないし、欲しくもない」と主張している。AIの開発競争が激しくなるなかで人材の移動と機密情報管理をめぐって大手2社が公開の場で対立する事態となっており、業界の受け止め方にも注目が集まっている。
Appleは2026年7月10日、iPhoneなどの機密情報が不正に持ち出されたとして、元従業員のチャン・リウ氏とタン・ユー・タン氏、OpenAIとその傘下のio Productsを、米カリフォルニア州北部地区連邦地裁に提訴した。Appleは8月3日、被告らによる機密情報の使用差し止めを求める仮処分(仮処分(裁判の確定前に一時的な措置を求める手続き))と、証拠開示手続きの前倒しを申し立て、OpenAIのブログはこれを受けて同日夜に公開された。仮処分をめぐる審理は10月1日に予定されている。
OpenAIはブログの中で、Appleの訴状にある個別の主張を一つずつ取り上げ、メールや iMessage(Apple製のメッセージアプリ) のやり取りを実物のまま公開して反論した。
| Appleの主張 | OpenAIの反論 |
|---|---|
| 2月にOpenAIへ連絡したが返答がなかった | Appleの外部弁護士が2つのアジア系の姓を取り違え、別人にメールを送っていた(メール実物を公開) |
| OpenAIの法務責任者チェ・チャン氏と電話で協議した | そのような事実はなく、Apple自身も後にこれを認めた |
| リウ氏が退職後にApple機密情報へアクセスした | Apple側の従業員がリウ氏本人にファイルの所在を教えてほしいと依頼していた(iMessageのやり取りを公開) |
| リウ氏に退職後も「残存アクセス権」があった | 退職者の権限停止が不十分だったApple側の管理上の問題であり、珍しいことではない |
| タン氏が他社の機密情報を利用する意図があった | タン氏はApple在籍24年以上で、他社の機密情報を「望まないし、使ってはならない」と一貫してチームに伝えてきた |
Appleが提出した申し立てでは、リウ氏、タン氏に加えOpenAI社員のアリッサ・ペン氏ら計4人の証人尋問と法人代表者の尋問、端末の フォレンジックイメージ(調査目的で複製した端末データ) の提出などを求めている。技術領域としてバッテリーの寸法、金属仕上げの陽極酸化処理、電力管理の仕様を挙げ、OpenAIがAppleのサプライヤーに独自の金属仕上げ工程を実施させた疑いにも触れているという。また提訴後、OpenAIに在籍する複数の元Apple従業員から、退職時に返却していなかったApple支給端末の返却について連絡があったとも記されている。
本稿執筆時点で、AppleはOpenAIのブログ内容に対する公式コメントを出していない。上記の反論はOpenAI側が一方的に公開した情報であり、Apple側からの再反論や訂正が今後示される可能性がある点は留意が必要だ。
編集部注: 双方が実際のメールや iMessage(Apple製のメッセージアプリ) のやり取りを公開する展開は、企業間の営業秘密訴訟としては異例に踏み込んだ情報開示であり、10月1日に予定される仮処分審理での主張の信用性判断に影響を与える可能性があるとみられる。AI人材の流動化が加速するなかで、退職者のアクセス権停止の徹底や、サプライヤーへの技術要求の扱いは、他のテック企業にとっても実務上の教訓となり得るだろう。