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AIの推論(学習済みのモデルを用いて、新しい入力データに対する予測や回答を処理すること)処理に特化したクラウドプラットフォームを提供するDeepInfraは、カナダ・トロントに新たなデータセンターを開設したと発表しました。この施設は同社にとって米国外で初の拠点となり、NVIDIAの最新かつハイエンドなGPUである「Blackwell B300」を1,000基以上ホストする、最先端のインフラストラクチャ拠点となります。
新設されたトロントのデータセンターは、電力容量が1.7 MW(メガワット)の施設で、DeepInfraにとってグローバルで9番目のデータセンター拠点となります。
この新施設には、NVIDIAの最新アーキテクチャに基づいた「Blackwell B300」GPUが1,000基以上導入されます。これにより、同社の処理能力が飛躍的に向上し、北米およびグローバル市場に向けて、低遅延(リクエストに対する応答が極めて早いこと)かつコスト効率の高いAI推論サービスを提供可能になります。今回のトロントへの展開は、同社が最近実施したシリーズB資金調達を受けた拡張計画の一環であり、今後は欧州やアジアなど他の国際地域へのデータセンター展開も視野に入れて評価を行っているとしています。

本ニュースの背景には、AIビジネス市場における根本的な構造変化があります。これまでのAIブームは、「GPT-4」などの高度なAIモデルを開発するための「学習(トレーニング)」工程が中心でした。しかし現在、多くのエンタープライズ(企業)がプロトタイプから実用規模のアプリケーション運用(サービス提供)へと移行しており、日々のアクティブユーザーの質問に答えるための「推論」工程の計算需要が激増しています。
McKinsey & Company(マッキンゼー)の調査によれば、AI推論に伴う処理は2030年までに世界全体のデータセンター需要の40%以上を占めると予測されており、年間複合成長率(CAGR)は約35%に達する見込みです。AIエージェントやリアルタイム検索、大量のAPI接続といった次世代のAIユースケースが普及するにつれ、世界中で「いかに低遅延で安価な推論インフラを確保するか」という激しい競争が生じており、DeepInfraの今回の投資はそのトレンドを体現しています。
今回のDeepInfraによるトロントへのBlackwell GPUの大量投入は、大手パブリッククラウド(AWSやMicrosoft Azureなど)に対して、AI専門のクラウドプロバイダーが「価格と処理速度」で対抗しようとする動きを象徴しています。特にBlackwell B300 GPUのような高価かつ入手困難な機材を1,000基規模でホストすることは、調達力の強さを示しています。推論に特化したインフラを安価に提供するサービス(推論APIサービス)が普及すれば、スタートアップや個人の開発者は、独自の高価なハードウェアを用意することなく、高性能なオープンソースモデル(Llamaなど)を極めて低コストでアプリに組み込めるようになるため、AIアプリケーション市場の多様化がさらに進むと予想されます。