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中国のAIスタートアップであるZhipu AI(清華大学の研究室から誕生した中国の代表的なAIスタートアップ。GLMシリーズを開発)の共同創設者・唐杰(Tang Jie)氏が、最先端のAIモデルは可能な限りオープンかつ広くアクセス可能であるべきだとする社内メモを公表した。米中両国でAIへのアクセス制限や安全保障上の規制が強まるなか、同社は短期的な収益を追わず、長期的な技術革新へ優先投資する姿勢を明らかにしている。
Bloombergが報じた社内メモによると、清華大学の教授でもある唐杰氏は、Zhipu AIの開発姿勢について次のように述べている。
「片方の手はより高みを目指し、知性の限界に挑戦する一方で、もう片方の手は未来への道を切り開き、最先端の能力をできる限り広く開放し、誰もが利用できるようにする」
Zhipu AIは、中国国内で最も注目を集めるAI企業の一つであり、脆弱性検出ベンチマークで高い性能を示した「GLM-5.2」などを開発している。唐氏はこの技術開発において、今後2年間は短期的な収益化を追求しないことを明言した。代わりに、自律型AIエージェント(人間の指示を受けて自律的に推論し、タスクを実行するAIシステム)の開発や、AI自身が完全に自己学習する次世代モデルなど、長期的なイノベーションにリソースを集中投下する方針だ。
このオープン化を強く推進する社内方針の背景には、米中両政府によるAIモデルの規制および「囲い込み」の動きがある。
米国では、サイバー攻撃能力の高さから、Anthropicの「Claude Mythos 5」などの高度なAIモデルに対し、米政府が米国外のユーザーや外国籍者へのアクセスを禁止する措置を講じた。これに対し、安全保障の専門家からは「サービスの強制停止は防御側を弱体化させ、結果的に攻撃側を利する」としてホワイトハウスに停止命令解除を求める公開書簡が送られるなど、議論を呼んでいる。
一方、中国側でも動きがある。ロイターの報道によると、中国政府は最先端AIモデルへの海外からのアクセスを制限することについて協議を進めているという。唐氏の社内メモは、まさにこのロイターの報道直後に出されたものであり、規制を強める政府方針への事実上のカウンターメッセージとも受け取れる。
今回の唐氏の表明には、いくつかの未確定要素と、日本の開発現場への影響が懸念されている。
米中双方が安全保障を名目にクローズド化やアクセス制限へ舵を切るなか、Zhipu AIのオープン化姿勢は、先行する米国の大手クローズドモデル(GPTやClaudeなど)に対抗する差別化戦略としても機能している。中国のAI業界は、オープンなモデルをグローバルに展開することで地位を確立しようとしているが、国家間の政治的な規制と開発者のオープン理念の衝突は、今後さらに激化していくとみられる。
引用元:GIGAZINE