AI関連の最新ニュースをピックアップ
カナダ・トロントに本社を置くAIスタートアップのCohereは、アラビア語の音声認識において業界最高精度を達成した20億パラメータのオープンソース音声認識(音声からテキストへの変換)モデル「Cohere Transcribe Arabic」を公開した。Apache 2.0ライセンスの下で提供され、OpenAIの「Whisper」などの既存の主要モデルを性能および処理速度で大きく上回っている。
アラビア語は中東・北アフリカ地域で3億人以上に話されているが、書き言葉(フスハー)に対して話し言葉には約30もの多様な方言が存在するため、AIによる認識が困難だった。本モデルは Hugging Face のアラビア語音声認識ベンチマークで単語誤り率(WER)25.87を記録。Metaの「OmniASR-LLM-7B」(28.32)やOpenAIの「Whisper Large V3」(36.86)を破り首位を獲得した。エジプト、湾岸、レバント、マグレブなどの日常会話方言や、英語とアラビア語が混ざった会話(コードスイッチング)も正確に処理する。
本モデルはクラウドサーバーを必要とせず、一般の消費者向けハードウェア上で動作する。vLLMによる最適化が施されており、Whisperの約3.5倍、OmniASRの約8倍にあたる圧倒的なリアルタイム処理速度(処理倍率525倍)を実現している。また、Cohereはサウジアラビアの国家AI企業「HUMAIN」との提携も同時発表し、同国向けの「ソブリンAI(自国の規制や文化に即した自国保有のAIシステム)」の共同開発を進める方針。
アラビア語の音声AIは英語などの主要言語に比べて技術開発が遅れていたが、今回のCohereによる高精度かつ高速なオープンソースモデルの提供により、中東地域における独自のAIエコシステム構築や、ローカライズされたエンタープライズ向け音声対話エージェントの開発が大幅に加速すると見られる。