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英国ケンブリッジを拠点とするAIスタートアップのWorldmodeldata(ワールドモデルデータ)は、700万ポンド(約800万ユーロ)のシード資金(創業初期の資金)調達を実施したことを発表しました。このラウンドはIona Star Capitalがリードし、Metaの元欧州公共政策責任者であるリチャード・アラン氏が同社の会長に就任しました。同社は、Unreal EngineやUnityなどのゲームエンジンからライセンス取得したゲームプレイデータを利用し、AIの「世界モデル」学習用のデータセットを構築・販売することを目指しています。
AIにおける世界モデルとは、人間が言葉に反応するチャットボットとは異なり、行動を起こした際に環境がどのように変化するかを予測するAIシステムです。この学習には、プレイヤーの「行動」と「その結果」がフレーム単位で一致している高品質なデータが必要となります。Webのスクレイピング(自動データ収集)に頼るのではなく、ゲームからライセンスを取得した映像、プレイヤーの操作入力、そしてゲーム内の3D状態(ステート)を組み合わせたクリーンなデータセットを生成し、ロボットや自動運転、フィジカルAI(物理的に作用するAI)を開発する企業へ販売する計画です。
Worldmodeldataは、2026年末までに100万時間のゲームプレイデータを確保することを目標としています。これは既存の最大のデータセットと比較して25倍の規模であると同社は主張しています。しかし、同社は現在約10人の小規模チームであり、現時点では確定した顧客契約や売上はありません。実は資金調達自体は前年の12月に完了していましたが、顧客であるAI開発ラボが真に必要とするデータを特定するために、一時的に活動を公表せず研究開発に専念していたと創業者のリア・ルカス氏は述べています。
ゲームデータをAI学習に用いるアプローチは競合他社も追随しています。サンフランシスコのOrigin Labは2026年5月に800万ドルを調達し、20以上のゲームパブリッシャーと提携。ニューヨークのGeneral Intuitionは4億5400万ドルを調達していますが、こちらは自社モデル構築のためにデータを囲い込んでいます。これに対しWorldmodeldataは、自社でモデルを構築するのではなく、どの開発企業にも中立的にデータを販売する「データプロバイダー」としての立ち位置を強調しています。
AIの性能向上が学習データの質と量に依存する中、著作権の問題をクリアしつつ物理的な因果関係を効率的に学習できるゲームプレイデータは貴重なリソースになりつつあります。Worldmodeldataの事業は、AI業界のゴールドラッシュにおける「シャベルの販売」に例えられます。この10人規模のスタートアップが、資金力のある競合に先駆けて100万時間という巨大なデータセットを構築し、ロボティクスや自動運転の進展に不可欠な「原因と結果を理解するAI」の実現に寄与できるか注目されます。
引用元:The Next Web