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東北大学発のAIスタートアップ企業であるTokyo Artisan Intelligence(TAI)は、独自のアーキテクチャ(設計構造)を用いたエッジAI向け半導体テストチップ「Sting Ray(スティングレイ)」の設計・製造・検証を含むすべての評価プロセスを完了したと発表しました。この成果を踏まえ、同社は量産化を見据えた次世代AI半導体チップ「Manta Ray(マンタレイ)」プロジェクトへ移行します。
TAIは、再構成可能(プログラムや用途に応じて内部の回路構成を変更できる)な半導体技術であるFPGAを活用したAIソリューションを提供してきました。同社はAI半導体の設計から製造、制御ソフトウェア開発、評価ボードによる実機動作の確認までの一連のプロセスを自社主導で完遂。エッジ領域(通信遅延や電力が限られる現場)に最適化したAIチップの基本検証を成功させました。
Sting Rayは、台湾の大手半導体受託製造企業(ファウンドリ)であるUMCの40nmプロセスを採用して製造されました。最先端の極微細プロセスではないものの、コストが抑えられ、低消費電力と供給安定性のバランスが取れた「40nm」は、実用性を重視するエッジAI分野における現実的な選択肢です。また、マレーシアの設計支援大手Oppstarの日本法人であるOppstar Japanの協力により、量産化に向けた半導体設計技術ノウハウの蓄積が行われました。
検証された技術は、鉄道・道路インフラの自動監視、工場内の複数ライン画像検査、自律移動ロボットといった「フィジカルAI」分野での実装が想定されています。TAIは今後、量産チップ「Manta Ray」の開発を進め、2027年第2四半期にサンプル出荷用のES版チップを製造、2027年第4四半期に本量産版(MP版)チップを製造し、2028年第1四半期に量産チップ搭載評価ボードを提供する計画を掲げています。
データセンター用の巨大なGPUとは異なり、工場や屋外のインフラ点検現場では「低消費電力・低発熱・省スペース」かつ「複数のAIモデルを現場のニーズに合わせて瞬時に切り替えられる柔軟性」が求められます。日本発の半導体ベンダーを目指す同社が、テストチップの評価を無事完了し量産フェーズへと踏み出したことは、現場に寄り添ったエッジAIデバイスの普及や産業自動化を後押しする重要な一歩となります。
引用元:小林行雄