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引用元:startupticker.ch
スイスの深層技術(ディープテック)スタートアップ企業CCRAFTは、次世代の光チップ(電気ではなく光信号でデータを送受信する半導体)の量産化に向け、780万ドル(約630万スイスフラン)の資金調達を完了しました。本ラウンドはQBIT Capitalが主導し、Zürcher Kantonalbank、Apprecia Capital、Spacewalk、Blue Wonder Ventures、さらには欧州の大手AIインフラ事業者が参加しています。今回の資金に加え、同社はすでに350万ドル以上の公的支援も確保しており、総額1,130万ドルの新たな資金をもとに、スイス・ヌーシャテルにある製造拠点の拡張を進めます。
CCRAFTは、スイスの有名な研究機関「CSEM(スイス電子工学マイクロテクノロジーセンター)」で6年以上にわたり研究開発されてきた「TFLN(薄膜ニオブ酸リチウム=極めて速く光を制御できる最先端の素材)」技術を商業化するため、2025年4月に設立されたスピンオフ企業です。同社は現在、世界初となる「TFLN光チップの独立ファウンドリ(受託製造に特化した半導体工場)」を運営しています。CSEMのパイロットラインを通じて、すでに世界4大陸・40以上のパートナーへチップを供給した実績があり、今回の調達資金によって量産ラインへの工業化プロセスを加速させます。
現在の世界的なAIインフラ構築の動きに伴い、従来よりもデータ伝送速度が速く、消費電力が大幅に低い次世代光集積回路(電気の代わりに光で処理を行う回路)への需要が急増しています。TFLNベースの光集積回路市場は、2030年までに数十億ドル規模に達すると予想されています。CCRAFTの共同創業者兼CEOであるハメド・サタリ(Hamed Sattari)氏は、「欧州は従来のシリコン半導体製造での競争力を失いつつありますが、次世代の光チップ分野ではまだ十分に世界をリードする機会が残されています」と述べており、スイスを拠点として信頼性の高いサプライチェーンを世界に提供する戦略を描いています。
CCRAFTは、今回獲得した資金を活用してヌーシャテルの生産プラットフォームを強化し、2030年までに月間最大2,000枚のウェーハ(半導体を製造するための薄い円盤状の板)の生産能力を持つ工業的量産体制を確立することを目指しています。技術およびイノベーションの主要パートナーとして、引き続きCSEMと密に連携を取りながら、一次(ティア1)と呼ばれる主要顧客に対する供給体制を整えていく計画です。
AIモデルの巨大化やデータ処理量の爆発に直面する中、従来の電気的なデータ伝送は物理的な速度限界と熱の課題にぶつかっています。光通信への移行は不可避と見られており、CCRAFTが目指すTFLN光チップの量産は、将来のAIデータセンターの省電力化と高速化を支える極めて重要なステップです。米国やアジアのメガファンドに対抗し、学術的な強みをもとにスイスが次世代半導体の供給拠点として主導権を握れるか、今後の製造規模拡大の進捗が注目されます。