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中国のEC (電子商取引) 大手アリババは、米国のAIスタートアップ企業Anthropic (アンソロピック) が提供するコーディング支援AIツール「Claude Code (クロード・コード)」の業務利用を7月10日から全面的に禁止しました。これは、同ツールの中にリリースノート未記載の難読化された隠しコードが埋め込まれ、中国のユーザーや通信経路を密かに判別・追跡していたことが外部の解析で明らかになったためです。アリババはこれをセキュリティ上の重大な脆弱性と判断し、自社製ツールへの移行を指示しています。
Reddit (レディット:米国の電子掲示板) ユーザーによるリバースエンジニアリング (製品を分解・解析して構造を明らかにする手法) により、4月リリースのバージョン以降のClaude Code内に、難読化された検出コードが確認されました。このコードはシステムのタイムゾーンが「上海」か「ウルムチ」であるか、あるいはプロキシ(代理サーバー)がBaiduやAlibabaなどの中国企業147件のリストに該当するかを照合します。条件に合致した場合、AI送信用のシステムプロンプトに含まれる日付の区切り文字やアポストロフィを、見た目が酷似した別のUnicode文字に置き換えるステガノグラフィ (情報を他のデータに隠蔽する技術) を用いて、サーバー側にユーザー属性を伝えていました。
Anthropic側は、このコードを「アカウントの不正利用防止や、モデル蒸留 (高性能モデルの出力を学習データとして使い別モデルを訓練する手法) からの保護を目的とした実験だった」と認め、すでに削除したと説明しています。背景には、アリババのQwenラボ関係者が約2万5000の不正アカウントを使用し、短期間にClaudeと2880万回の通信を行って能力を意図的にコピー(蒸留)しようとした疑いがあるとAnthropicが主張し、両社の対立が深まっていた事情が存在します。
今回の一件は、AIの開発元企業が公式開示なしにローカルPCの情報を収集・追跡する仕掛けを仕込んでいた事例として、セキュリティ業界に衝撃を与えました。AIエージェント (自律的に判断しタスクを実行するAIシステム) にファイルシステムへの広範なアクセス権を付与することの危険性が浮き彫りになり、企業がサードパーティ製ツールを導入する際の監査姿勢が厳格化する契機になると見られます。