AI関連の最新ニュースをピックアップ

米Appleが中国の半導体大手である長鑫存儲(CXMT)からのDRAM調達を巡り、米トランプ政権に対してロビー活動を行っていると報じられた件について、著名アナリストの郭明錤(Ming-Chi Kuo)氏がその背景を分析しました。郭氏は、Appleの目的はコスト削減ではなく、AIインフラの需要急増に伴う世界的なメモリ供給不足から生き延びるためであると指摘しています。AIデータセンター向けメモリへの生産能力シフトにより、2026年後半から2027年第1四半期にかけて、iPhone 18シリーズ向け次世代A20チップの供給量が当初計画から10%〜20%減少する懸念が生じており、Appleは深刻なメモリ不足へのリスクヘッジとして新たな調達ルート確保を狙っているとみられます。
郭氏の分析によると、世界的なAIインフラの急激な構築に伴い、DRAMの生産能力がデータセンター向け(特に高帯域幅メモリ:HBMなど)へ急速に奪われています。2026年に民生機器向けに割り当てられていたメモリ容量の15%から20%が、2027年にはAIデータセンター向けへとリダイレクトされる見通しであり、メモリの需給ギャップは2027年にかけてさらに拡大すると予想されています。
このLPDDRメモリの供給逼迫により、Appleは2026年後半から2027年第1四半期に予定している次世代「A20」チップの調達量を、当初の目標から10%〜20%削減せざるを得ないリスクに直面しています。これまでのメモリ価格高騰に対する製品値上げのような対策とは異なり、「物理的に調達が困難になる」という供給リスクに対応するため、Appleは新たな調達先を確保するロビー活動を活発化させています。
CXMTは米国防総省の軍事関連企業リスト(1260Hリスト)に含まれており、商務省のエンティティリスト(禁輸リスト)に追加されるリスクがあります。Appleが規制適用外の保証を求めるロビー活動に成功したとしても、CXMT自体の生産能力は中国国内の需要を満たすのにも不十分であり、Appleのメモリ不足を根本的に解消するには至りません。しかし、極端な調達不足を防ぐための一時的な「予備ソース(セーフティネット)」として大きな意味を持ちます。
今回のメモリ危機は、かつてのNANDコスト削減を目的とした2022年のYMTC(長江存儲)検討時とは異なり、DRAM供給リスクそのものの管理に主眼が置かれています。AI主導の部品不足により、AppleはすでにMacBookやiPadなどの値上げを余儀なくされていますが、主力であるiPhoneへの影響を最小限に抑えるためには、複数地域や代替メーカーを組み合わせた、より強固なサプライチェーンの再構築が求められています。