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イーロン・マスク氏率いるAIスタートアップ「xAI」が運営するデータセンターから発生する「ほぼ絶え間ない騒音と振動」を巡り、米国ミシシッピ州デソト郡サウスヘイブンの住民らが、同社を相手取った集団訴訟(共通の被害を受けた多数を代表して起こす裁判)を提起しました。住民側は、xAIが近隣住民の所有地を使用・享受する基本的人権を侵害していると主張し、裁判所による騒音の差し止め命令および損害賠償の支払いを求めています。
訴訟は、サウスヘイブンの住民3名によって、影響を受ける地域住民を代表して提起されました。人口約5万8000人のサウスヘイブンは、かつては「穏やかで静か」な環境でしたが、2025年中頃から近隣のデータセンターに設置された発電用のガスタービン(ガスを燃焼させて回転力を得る原動機)による、激しい騒音と振動に直面するようになったとされています。 63ページに及ぶ訴状によると、騒音は昼夜を問わず発生しており、周囲が静まる夜間には特に回避が困難です。住民らはこの状況を「ジェットエンジン」のそばに常にいるようだと表現し、精神的苦痛を訴えています。
騒音の原因とされているのは、テネシー州メンフィスにあるxAI Mississippiのデータセンター「Colossus 1」および「Colossus 2」と、2026年2月に操業開始を予定しているサウスヘイブンの200億ドル規模の第3の施設です。サウスヘイブンの施設では、ガスタービンの数が当初の3基からわずか1年足らずで57基へと急増しました。 タービンが発する音は、高音の金切り声やエンジンの轟音、低周波(人の耳に聞こえにくい低い周波数の音)の地響きなどが混ざり合っていると説明されています。これに加え、xAIが許可なく大気汚染を引き起こしているとして、NAACP(全米黒人地位向上協会)も発電所の稼働停止を求める訴訟を起こしており、データセンターの運営を巡る地域社会での抗議が多方面で活発化しています。
AIモデルのトレーニングに膨大な電力を必要とするデータセンターの急増は、電力網への負荷だけでなく、近隣住民に対する環境騒音や大気汚染といった深刻な「地域摩擦」を引き起こしています。xAIの親会社であるSpaceXは、地球上の施設に代わるものとして宇宙に軌道上データセンターを構築する計画を模索しているとされていますが、実現には技術的・コスト的な課題が多く残されています。地上施設の急速な拡大に伴う周辺環境への配慮不足は、今後AI業界全体において重要なESG(環境・社会・ガバナンス)の課題として議論が深まるものと見られます。