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米Metaは、AI(人工知能)を搭載した自動カスタマーサポートアシスタントの脆弱性を悪用され、計2万225件のInstagramアカウントがハッカーに乗っ取られたことを公式に確認した。被害にはオバマ政権時代のホワイトハウス公式アカウントや米宇宙軍の幹部アカウント、美容大手Sephoraなどが含まれる。2026年4月17日に攻撃が開始され、Metaが検知して修正するまで1ヶ月以上放置されていた。今回の侵害はプログラムのバグに加え、AIの指示受け入れにおける「論理的欠陥」(システムのセキュリティ設計の甘さ)を突いたものである。
ハッカーは、アカウント復旧を支援するAIツール「High Touch Support (HTS)」の欠陥を悪用した。まずVPN(仮想専用線:プライバシーを保護し接続元を偽装する技術)でターゲットと同じ国に偽装してパスワードリセットを要求し、AIとのチャットを開始。AIに対し、ターゲットアカウントに攻撃者のメールアドレスを登録するよう要求した。システム側のバグにより、AIは入力されたメールアドレスが元の情報と一致するかどうかの検証プロセスをスキップし、要求通りに変更した。この結果、攻撃者にパスワードリセットリンクが送信され、完全な乗っ取りが可能となった。
メイン州司法長官に提出されたデータ侵害通知によると、4月17日からMetaが発見した5月31日までの期間に、20,225件のアカウントが侵害された。攻撃者は被害アカウントの登録メールアドレス、電話番号、生年月日、プロフィール情報、ダイレクトメッセージ(DM)、接続サービスなどにアクセスできた可能性がある。
Metaは5月31日に問題を把握後、AIサポート機能を無効化し、脆弱性のあるコードを削除した。生成されたすべてのリセットリンクを無効化し、影響を受けたユーザーには再認証を強制した。なお、被害に遭ったのは「二要素認証(IDとパスワードに加え、コード入力等を求める仕組み)」を有効にしていなかったアカウントのみであり、有効化していたアカウントは乗っ取りを免れていた。
今回のインシデントは、アカウント復旧といった特権操作をAIに委ねる際のリスクを浮き彫りにした。システムが強固でも、対話型AI自体が単純な「指示」で騙されてしまえばセキュリティは崩壊する。
(編集部注: 特権を扱うAIシステムには、人間が管理するシステムと同等の厳格な検証プロセスが必要である。AIの導入がセキュリティリスクを高める一因になることを示す典型例であり、企業には対話型AIの権限管理の再考が求められる。ユーザーとしても、二要素認証を設定するなどの自己防衛が不可欠となる。)