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フランスを代表するAIスタートアップであるMistral AIが、産業シミュレーション(コンピュータ上での物理的な実験や予測)向け物理モデルを開発するEmmi AIを買収したわずか13日後、同社の共同創業者であるGuillaume Lample氏とCédric O氏の2名が、競合するパリのスタートアップ「NP Co.」に出資していたことが明らかになりました。この動きは、重工業向け物理シミュレーションへのAI適用分野(物理AI:物理法則を学習させたAIモデル)の市場価値が急速に高まっていることを示しています。
Mistral AIは2026年5月19日にEmmi AIの買収を完了しました。しかし、その直後である6月1日、同社の共同創業者2名が、Emmi AIと競合するNP Co.(旧名Augur)のプレシード(設立直後の極めて初期の資金調達段階)資金調達ラウンドに個人投資家として出資したことが報道されました。この動きは異例であり、物理AI分野の激しい競争を象徴していると見られています。
フランス国立情報学自動制御研究所(Inria)発のスタートアップであるNP Co.は、従来のシミュレータでは数日から数週間かかっていた計算を、AIベースのシステムを用いて数秒で処理することを目指しています。同社はPartechが主導する600万ユーロ(約10億円規模)のプレシード資金調達を完了しました。これにはMistral共同創業者のほか、プジョーのファミリーオフィスやDataiku創業者らフランスの有力な投資家陣が参加しています。

航空宇宙や防衛、エネルギー分野において、物理シミュレーションの高速化は開発期間の短縮に直結する重要な技術です。Mistral AIが買収したEmmi AIと、その創業者が支援するNP Co.は、いずれも重工業のプロセスを大きく効率化する可能性を秘めています。自社の買収相手の競合にあえて出資するという創業者の行動は、特定のAIモデルに依存せず、この破壊的技術のポテンシャル自体に強い期待を寄せているためであると推測されます。