中国のテクノロジー企業は、生成AIの主戦場をデジタルなチャットボットから物理的な自律システムへと移し、AIモデルをロボットへ搭載する開発競争を加速させている。アリババは外部のソフトウェアやハードウェアを操作できる「ツール呼び出し」機能を備えたQwen3.7-Maxモデルをリリースし、テンセントのOpenClawフレームワークも量産型ヒューマノイドに統合されるなど、物理世界で動作する「エンボディドAI(身体性AI)」への移行が明確になった。
1. アリババとテンセントの最新動向
- アリババはQwen3.7-Maxに加え、ロボットのグリッパー操作やナビゲーション、視覚と言語を組み合わせた物理世界向けAIモデル群をリリースした。
- テンセントのOpenClawフレームワークは、スタートアップZerothのM1ヒューマノイドに統合され、人間の音声を解釈して即座にロボットの動作に変換できるようになった。
- 認知知能から行動知能への進化が求められており、UBSなどのアナリストも次の大きな成長分野として注目している。
2. データ不足という課題と解決策
- GPT-5が約100億時間分のデータで訓練されたのに対し、ロボティクス業界が利用できる高品質なエンボディドAIのデータは約50万時間分にとどまる。
- このデータ不足を解消するため、X Square Robotなどのスタートアップは、家庭用清掃プラットフォームと提携し、現実世界でのロボット稼働データを収集している。
- 中国全土でエンボディドAIに特化した約30の訓練施設やデータセンターが計画・設立されている。
生成AIの応用先が画面の中の対話から、物理世界で実際に作業を行うロボットへと急速に拡大している。データ不足という課題はあるものの、現実世界の稼働データを収集するインフラ投資が進むことで、製造業や家事支援など多様な分野でのロボットの実用化が大きく前進すると予想される。